庄司薫は現在、株で悠々自適?妻は中村紘子、村上春樹との関係。芥川賞作家の名言

著者と同名の主人公・薫くんの自分探しをみずみずしく描いた青春小説『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞作家となった庄司薫(しょうじかおる)さん。

1977年を最後に新しい小説を刊行していませんが、2020年現在はどんな暮らしぶりなのでしょう。

プロレベルと噂される株投資やピアニストの妻・中村紘子さんに与えた影響、村上春樹さんとの関係、作品中の名言についてお送りします。

庄司薫は2020年現在、株投資で悠々自適?

芥川賞作家であり、中村紘子さんの夫としても知られる庄司薫さん。

本名を福田章二さんといい、1937年4月19日、東京都豊島区に生まれました。


東京大学在学中に『喪失』が中央公論新人賞を受賞し、大江健三郎さん、石原慎太郎さんらとともに新進気鋭の小説家として時の人に。

ところが、福田章二名義で最後となる『輕やかに開幕』を1960年に発表したあと、ご本人が「総退却」と呼ぶ謎の空白期間に突入。

庄司薫名義による『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞を受賞したのは1969年のことでした。

同作は当時の若者の反響を呼び、ミリオンセラーに。

以降、『さよなら怪傑黒頭巾』『白鳥の歌なんか聞こえない』『ぼくの大好きな青髭』と、薫くんシリーズで人気を博します。

しかし1977年のシリーズ最終作を最後に、またしても小説家として沈黙。

文壇から才能を期待された作家の近況が不明なまま月日は過ぎていきました。

妻の中村紘子さんが国際的なピアニストであったことから、ヒモ疑惑まで浮上してしまいます。

ところが実際は妻の経済力に寄りかかることなく、投資家として成功していた庄司薫さん。

株や不動産の投資にかけては専門家が称賛するほどのレベルなのだそう。

1985年以降は14億円近い資金を借り入れて株や不動産に投機。

バブル崩壊で資産価値が下落し、破産の憂き目にあう個人投資家が多い中、じょうずに売りぬいて、2006年には借金を完済。

損はしなかったといいますから、プロ並みの投資家といえますね。

このことから、2020年現在も株投資で悠々自適な暮らしぶりとみる向きが強いようです。

庄司薫は中村紘子の夫にして師匠のような存在

私生活では1974年9月に中村紘子さんと結婚。

『赤頭巾ちゃん気をつけて』の中に「中村紘子さんみたいな若くて素敵な女の先生」というくだりがあり、これに感激した中村紘子さんが電話したことで仲が深まったそうです。

もともと中村紘子さんは庄司さんの憧れの女性だったのかもしれませんね。

みずからを「音楽バカ」と笑う中村紘子さん。

交際を通して広い視野や欠けていた教養を学んだと告白しています。

当時はピアニストとして今後の方向性に悩んでいた時期でもありました。

技術を磨くためには海外へ行くべきだったところ、それを思いとどまらせたのも庄司さんを介した知識人との交流でした。

庄司薫さんはよき伴侶であると同時に、師匠のような存在でもあったようです。

中村紘子さんは2016年7月26日に大腸がんのため死去。

亡くなる前日は72歳の誕生日であり、彼女のたっての希望で自宅に戻り、夫や愛犬と水入らずで過ごしました。

夫妻に子供はいませんが、結婚以来夫婦仲のよさは変わらず、おしどり夫婦として知られていました。

芥川賞作家・庄司薫と村上春樹の関係をめぐって

庄司薫さんについてよく言われるのが、『ライ麦畑でつかまえて』のサリンジャーから受けた影響と、村上春樹さんに与えた影響です。

村上春樹さんの小説には庄司薫さんを思わせるディテールが満載だという人もいれば、『風の歌を聴け』に登場するデレク・ハートフィールドなる作家の正体は庄司薫さんだという説も。

両者の作品にみられる設定の一致を研究した評論もありますが、どうも都合のよい部分だけを抜き取って類似性を見つけた印象が否めません。

『赤頭巾ちゃん気をつけて』が『ライ麦畑でつかまえて』の影響を受けているとすれば、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の翻訳者が村上春樹さんですから、「ライ麦」つながりということにもなりますが、これもこじつけのような気がします。


個人的には、二人の作品世界は異なるものであり、村上春樹さんが特に影響を受けたかどうかは微妙なところだと思います。

村上さんが影響を受けた作家として挙げているのはトルーマン・カポーティ、スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・チャンドラーなど海外の作家がほとんど。

二人が何かと関連づけて語られるのは、世界的に評価の高い村上春樹さんを日本文学の中央に位置づけようという動きの表れかもしれませんね。

『赤頭巾ちゃん気をつけて』の名言とは

芥川賞受賞作『赤頭巾ちゃん気をつけて』は、18歳の薫くんの独白でつづられた自分探しの物語。

舞台は学生運動が激しかった時代です。

風邪をひき、東大入試は中止になり、愛犬には死なれ、うっかり親指の爪をはがす怪我を負い、おまけに幼なじみの由美ちゃんとは仲違い。

ふんだりけったりの薫くんの1日を描いた青春小説です。

テーマは、男の子はいかに生きるべきか。

1日が終わる頃、薫くんに芽生えたのは、それまでの折れそうな心を一気に吹き飛ばす感情でした。

「ぼくは海のような男になろう」。

このあと「あの大きな大きなそしてやさしい海のような男に」と名言が続くのですが、これは大好きな由美ちゃんを守る決意の表れ。

この先の人生で試練に直面した時、この決意が自分を支え、勇気づけてくれる大事なものになるだろうと確信して物語は終わります。


作中には当時のヒット曲や人気スターの名前、学生運動用語などが散りばめられ、60年代後半の空気が強く伝わってきますが、今読んでもみずみずしい青春小説の傑作です。

女の子にやさしくすることこそ男らしい生き方というのは一見単純なようですが、そこに答えがあったことに目の覚める思いがする読者もいるのではないでしょうか。

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