宇野千代の死因、生家は一般公開。結婚・離婚した夫たち&荒井注コジコジとは

まるで小説のヒロインのように奔放な恋に身を捧げ、ドラマチックな人生を送った女流作家の宇野千代(うのちよ)さん。

今回は死因をはじめ、今も残る山口県の生家についてみていきます。

また結婚・離婚をした四人の夫たちや「荒井注コジコジ」で検索される理由にも迫ります。

長寿を全うした宇野千代の死因

宇野千代さんは明治30年(1897年)11月28日、山口県岩国市の裕福な家に誕生しました。

まもなく母が他界し、父は若い女性と再婚。


この継母・リュウさんが『おはん』のモデルといわれる女性です。

宇野千代さんは彼女を実の母と思って育ち、とても慕っていました。

やがて岩国高等女学校を卒業して小学校の代用教員になりますが、18歳の時には同僚教師との恋愛をとがめられて教職を追われ、 故郷を離れることに。

会えなくなった恋人に手紙を書くと、返ってきたのは絶縁状でした。

やがて『時事新報』の懸賞短編小説に応募した『脂粉の顔』が一等に入選し、作家デビューを果たします。

86歳で出版した『生きて行く私』が発売と同時にベストセラーになり、また実業家としても晩年まで活動していた宇野千代さん。

平成8年6月10日、東京都内の病院で98歳の生涯を閉じました。

死因は急性肺炎でした。

同日、長年にわたる功労に対して勲二等瑞宝章が贈られています。

墓所のある菩提寺の教蓮寺は、故郷岩国の生家と同じ通りにあります。

宇野千代の生家は一般公開

18歳で故郷をあとにしたとはいえ、宇野千代さんの原点にはいつも岩国がありました。

「日本一の故郷」と誇らしげに語った郷土愛は終生変わることはなかったそうです。

生家は市内の川西町に今も残り、一般公開されています。

明治時代に建てられた平屋の生家は、 喜寿を迎えた年に復元が完成したもの。

「宇野千代」 という自筆の表札がある玄関の格子戸に、きれいに掃き目のついた玄関の土間。

生家は玄関を中心に左右に分かれた造りになっており、右側は台所や時代を感じさせる五右衛門風呂へ続く廊下、左側には仏間や寝室など。

訪れたファンは、とりわけ仏間に置かれた文机と座布団に息をのむことでしょう。

文机には原稿用紙ときれいに削られた鉛筆が何本もあり、まるで主が今も健在であるかのような状態に整えられています。

宇野文学ファンにとっては、まさに聖地といえる生家です。

宇野千代の華やかで奔放な結婚・離婚歴

生涯で四度の結婚と離婚をした宇野千代さん。

最初は父が決めた縁談で、14歳の時でした。

お相手は継母の姉の息子である藤村亮一さんです。

ところが10日ほどで実家に戻ってしまい、結婚生活は破綻。

その後同僚教師との恋愛を経て、元夫の弟である藤村忠さんと再婚。

忠さんの転勤にともない、北海道に居を移しました。

まもなく作家活動をはじめた千代さんは、東京の中央公論を訪れた際に尾崎士郎さんに一目惚れ。

尾崎士郎さんは、繰り返し映画化されている大ベストセラー、『人生劇場』の作者です。

宇野千代さんは北海道には戻らず、そのまま東京で尾崎さんと同棲生活に入り、夫と離婚したのちに結婚。

しかし作家の梶井基次郎さんとの関係を疑われたことから、またもや別居、そして離婚。

つぎのお相手は画家の東郷青児さんでした。

ダンディで社交的な性格から、多くの浮き名を流した男性です。

小説の取材のために、情死未遂事件を起こした東郷さんのもとを訪れた宇野千代さん。

この時もこのまま同居生活に入ります。

しかし、やがて東郷さんが情死未遂事件の相手である女性と復縁して結婚。


東郷さんとは婚姻関係はなかったようです。

四人目の夫は北原武夫さんでした。

この方も二枚目ですね。

新聞記者だった北原さんの取材を受けた千代さんは、またもや一目惚れしたようで、著書に「魂を奪はれるほど気をとられて、毎日毎日、北原に会ふために『都新聞』の玄関まで行つた」と記しています。

北原さんは『スタイル』の創刊を提案し、文壇デビュー。

二人は昭和14年に画家の藤田嗣治さんと作家の吉屋信子さんの媒酌で結婚しました。

新婦は42歳、新郎は32歳でした。

婚姻期間が不明な最初の夫を除き、二人目、三人目の夫と東郷青児さんとは数年で破局していますが、北原武夫さんとの結婚生活は25年に及びました。

宇野千代が「荒井注コジコジ」で検索されるわけ

さくらももこさんの漫画『コジコジ』は90年代後半にアニメ放送されていました。

メルヘンの国の住人という不思議なキャラクターたちが繰り広げる日常を描いていますが、ブラックなネタやナンセンスなギャグもあり、子供向けというよりは大人向けのアニメといえるかもしれません。

宇野千代さんが「荒井注コジコジ」で検索される理由は、第5話の「手紙を書こう」にありました。

両親がおらず、天涯孤独の主人公・コジコジは、ある日「あなたは宇宙の子」という声を聞きますが、翌日にはその話を忘れてしまいます。

学校で次郎くんに両親の名前を聞かれたコジコジは、「う」と「ちゅう」がつく名前だと説明しますが、次郎くんは「宇野千代と荒井注」と勘違い。

この二人がどういう人物なのかは子供にはわからないはずなのに、あえての「宇野千代と荒井注」。

さくらももこさんのシュールな世界観が堪能できる作風です。

近代日本を代表する女流作家であり、実業家、編集者、着物デザイナーという多彩な顔ももっていた宇野千代さん。


「事実は小説より奇なり」という言葉のとおり、宇野千代さんの波乱万丈な生涯は小説よりもはるかにドラマチックに感じます。

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