抒情詩人として知られ、『杏子っ子』や『あにいもうと』など名作小説も残した室生犀星(むろう さいせい)。
猫好きで知られる作家は多いですが、彼もまたかなりの愛猫家でした。
今回は犀星の猫好きな一面、SNSで「かわいい」と評判になっている愛猫ジイノと火鉢の写真をご紹介します。
併せて犀星作『猫のうた』について見ていきます。
室生犀星のプロフィール
本名:室生照道
生年月日:1889年8月1日
死没:1962年3月26日
身長:不明
出身地:石川県金沢市
最終学歴:長町高等小学校(現在の金沢市立小将町中学校)中退
室生犀星は猫好き
犀星は動物好きで知られた作家ですが、とくに猫には心惹かれていました。
金沢にある室生犀星記念館では、室生犀星の愛猫をイメージした箸置きが販売されてるんですよ。
とてもかわいい。 #猫の日 pic.twitter.com/Cs2kvfrFQy— 島兎@🥀295 (@shimamamato) February 22, 2020
生涯で合計10匹ほどの猫を飼っていたようです。
晩年は決して裕福ではありませんでしたが、ミュン子、ジイノ、ツマロという3匹の猫を飼っていました。
さらに鉄とゴリという2匹の犬も飼っていたそうです。
犀星は私生児として生まれたため、幼少期は愛情に飢えていたはず。
だからこそ家族や動植物に、自分が注がれることのなかった深い愛情を注いでいたのでしょう。
ちなみに小説『蜜のあわれ』は、赤い金魚と老人が会話する不思議な作品で、二階堂ふみさんが金魚を演じた映画が話題となりました。
動物の気持ちを考え、彼らを思いやっていた犀星だからこそ、魚と人間の絶妙なやり取りを創作できたのでしょう。
愛猫ジイノと火鉢の写真
犀星が愛したペットの中で、もっとも有名なのが、雄猫ジイノです。
主人の傍らで、火鉢に両前脚をかけて暖を取る姿が写真に残っており、SNS上で「かわいい」と話題になりました。
室生犀星さんの火鉢猫ジイノ…何度見ても可愛さに胸が締め付けられる(*´ー`*) pic.twitter.com/5RP0iBwXkM
— Green Pepper (@r2d2c3poacco) January 18, 2020
文豪・室生犀星と、
火鉢にあたる愛猫ジイノの写真で。世界のみなさま、
よいお年を。 pic.twitter.com/TOcN2kNtc1— 世界文庫 / 世界文庫アカデミー (@sekaibunko) December 31, 2015
犀星はジイノのために火鉢の熱さを調整してあげるほど、思いやりながら接していました。
「火鉢が曇って困る」とぼやきながらも、嬉しそうに火鉢の曇りを拭いていたそうです。
幸せそうな表情でくつろぐ犀星とジイノの姿に、思わず笑みがこぼれた人も多いでしょう。
ジイノは1957年、東京馬込の犀星宅に迷い込んできました。
犀星の長女朝子さんが、イタリア映画に出て来るアンジェリーノ少年に似ているため、「アンジェリーノ」と命名。
名前が長いためか、やがて省略され「ジイノ」と呼ばれるようになるのです。
今では「火鉢猫」として知られるジイノ。
きっかけはある冬の日、火鉢の前で丸くなっていたジイノの背中とおしりを、犀星が火鉢に近づけてあげたこと。
するとジイノは両脚を火鉢のふちにかけたため、人間が両手を火にあてているような格好になったのです。
金沢市千日町にある「室生犀星記念館」の入り口には、火鉢にあたるジイノのオブジェが展示されています。
室生犀星の長女の朝子が、イタリア映画に登場する少年に似ていると「アンジェリーノ」と名付け、いつの間にか「ジイノ」と呼ばれるようになったこの猫は、金沢にある犀星の記念館でお出迎えしてくれます。 pic.twitter.com/SHwrzJifgY
— 進士 素丸 (@shinjisumaru) April 13, 2020
さらに記念館では、ジイノのハンカチや箸置き、しおりなど関連グッズが多数販売されています。
今日のお土産。
室生犀星記念館のジイノちゃんハンカチとカメチョロちゃん箸置き。雨宝院の御朱印(ФωФ) pic.twitter.com/jf2Lq0NrKZ— かんな@(=゚ω゚=) (@kannadukimiko) November 22, 2020
ねえみて!!みてこの可愛さ!!今日犀さんの記念館で身請けしてきた箸置きのジイノさん!!!!最高!!!!可愛い!!!!!!みて!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/H1kquK5gkA
— そでちゃん (@s0de_k0) March 4, 2018
早速使ってみた犀せんせ記念館の火鉢にゃんこことジイノちゃんしおりがかわいすぎて pic.twitter.com/UPH4bxtD4x
— しろる@5/23試験FP-3 (@shiro_ru) September 18, 2017
時を超えて、人々を魅了してやまないジイノ。
犀星に詳しくない人でも、ジイノの愛らしい姿を求めて、記念館に足を運ぶ価値はあるでしょう。
室生犀星作、猫のうた
愛猫家として知られた犀星は、猫への愛をつづった詩『猫のうた』を残しています。
詩集『動物詩集』に収録された作品です。
2021/01/09 🐈⬛✍️
「猫のうた」/#室生犀星#ジャスティス原稿用紙時計のかはりに猫をくださゐ。 pic.twitter.com/pwuTgcXTgb
— いぬわん (@kennbowwow) January 9, 2021
詩は、「猫は時計のかはり(代わり)になりますか」で始まります。
実用性はないにもかかわらず、どこの家庭にも猫がいることに言及し、人間を癒してくれる猫の魅力を描出。
また猫が鋭く人間の本質を見抜き、懐く場合と懐かない場合があることに触れ、猫の観察力について詠い上げました。
あらゆる動物をいつくしんだ犀星は、同作のほか『犬のうた』や『べに鯛のうた』に加え、『冬の蠅のうた』も創作。
猫のうた
やさしい人についてまはる、
きびしい人にはつかない、
いつもねむつてゐながら
はんぶん眼をひらいて
人をみてゐる。室生犀星さん、動物詩集
興味深いです。 pic.twitter.com/y60d39MaMj— 福夢(フクム) (@fukumuma) December 29, 2020
犀星の作品からは、自然や動物への深い愛情と、人間よりも鋭い本能への敬意までもが感じられますね。
犀星自身は実の両親と幼くして別れ、寂しい幼少期を送りました。
だからこそ、家族や動物に同じ思いをさせまいと、限りない愛情を注いだのです。
犀星の優しい人柄がにじみ出ている作品に触れることで、目まぐるしい日々を忘れ、ほっこりしたひと時を過ごせるでしょう。
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