大滝秀治の若い頃と名言。妻と娘たち、家族の現在(2023)。宇野重吉が声を酷評&高倉健が演技力に涙

どことなくユーモラスなセリフ回しと滋味深い演技で幅広い年齢層から愛された大滝秀治(おおたきひでじ)さん。

キンチョールのCMの「つまらん!」というセリフは有名ですが、長い下積み時代を経験した遅咲きの役者らしく、ご本人も深い名言を残しています。

今回は妻をはじめ家族に注目しながら、宇野重吉さんや高倉健さんとのエピソード、また演技力についてもまとめます。

大滝秀治の若い頃。名言が深い!

劇団民藝の看板俳優の一人として、またドラマや映画の名脇役として長きにわたり独特の存在感を示してきた大滝秀治さん。

受賞した演劇賞は多く、2011年には演劇活動に対する功績から文化功労者に選定されました。


1925年6月6日生まれ、東京都出身の大滝秀治さんは、1948年に民衆芸術劇場(劇団民芸の前身)の養成所に1期生として入所。

しかし、けっして二枚目とはいえない容貌と甲高くしゃがれた声質がハンディキャップになって不遇時代が続きます。

転機が訪れたのは45歳の時でした。

東京裁判を描いた『審判』で初の主役に抜擢された大滝秀治さんは同作で紀伊國屋演劇賞個人賞を獲得。

映画では市川崑さん、伊丹十三さん、山田洋次さんら、そうそうたる名監督の常連俳優として昭和史に残る作品に数多く出演。

存在感を示すワンポイントの助演スタイルが定着したのは、『犬神家の一族』にはじまる横溝正史シリーズでしょう。

ドラマでは『北の国から』など倉本聰脚本作品に多く起用されました。

一方で、8年間にわたって出演した『特捜最前線』では人情派の船村刑事を喜怒哀楽たっぷりに演じ、キャラクターが名物に。

2002年からは、同じく名優の岸部一徳さんとキンチョールのCMで親子役で共演。

ひょうひょうとしつつもいきなり激昂し、「つまらん! おまえの話はつまらん!」と息子の話を一蹴するユーモラスな演技を見せました。

秀逸なCMなのですが、個性派俳優の競演と奇抜なセリフのインパクトが強烈すぎて、何のCMなのかを一瞬忘れそうです。

没後に出版された語り下ろし写文集『長生きは三百文の得』には、芽が出ない時もくさらず、端役でも手を抜かなかった大滝秀治さんの人柄をしのばせる言葉があふれています。

「自信の上に自惚れがあり、謙虚の下に卑屈がある」という名言もそのひとつでしょう。

自惚れに堕ちることなく、かといって謙遜に満ちることもなく、その中間で一生懸命やればいいと大滝さんは語っています。

これは自己評価の高さ・低さにも関わることで、考えさせられる言葉ですね。

自信と自惚れ、謙虚さと卑屈さは紙一重という警告だと個人的には解釈しましたが、これで合っているのでしょうか。

大滝秀治の妻や娘、家族の現在

1955年に結婚した妻は劇団民藝の研究所に所属していた女性でした。

大滝秀治さんいわく、よくできた女房で、下積み時代は彼女が働いてくれたおかげで演劇に打ち込めたとのこと。

子供は2女に恵まれ、長女が菜穂さん、次女が1990年前後に女優として活動していた大滝久美さんです。

久美さんは1988年の小泉今日子さん出演のドラマ『今日の日をこそ』のほか、NHK『総務部総務課山口六平太』、また1991年のNHK『オールド・フレンド』に出演していたことがわかりました。

当時の女性週刊誌の取材で「目標は樹木希林さん」と発言しているのですが、この3作品以外の出演情報は確認がとれませんでした。


長女・菜穂さんの夫は演出家の山下悟さんです。

次女の久美さんもすでに家庭を持っているという情報があるため、女優業は引退したのかもしれません。

大滝秀治さんは2012年2月にがんが発覚し、入退院を繰り返したあと、9月上旬からは自宅で療養を続けていました。

亡くなるまでのおよそ1か月は家族に囲まれて過ごしたことになります。

家族とずっと一緒にいられるのだから、病気も悪いことばかりじゃないねと話していたそうです。

宇野重吉が大滝秀治の声にダメ出し?

大滝秀治さんは終戦まもない1946年、帝国劇場で観た宇野重吉さんの舞台に感銘を受けて役者を志します。

宇野重吉さんは戦前から日本演劇界を牽引した名優で、劇団民藝の創立者にして中心的指導者であり、民藝を俳優座・文学座と並ぶ劇団に育てあげた功労者。

俳優の寺尾聰さんは長男です。

石原裕次郎さんと共演した日本酒のCMを懐かしく思う中高年の方は多いでしょう。

養成所に入所した大滝秀治さんに対して、宇野重吉さんは「君の声は壊れたハーモニカのようだから演劇には向かない」と酷評。

暗に演出家への転向をほのめかしたわけですね。

大滝さんはそれでもあきらめることなく役者の道をめざし続け、45歳でついに主役の座を射止めます。

法廷劇『審判』で、敬愛する宇野重吉さんからリアリズムとは何かを学んだことが役者人生の支えになったと振り返っています。


1988年に宇野重吉さんが他界したあとは民藝の実質的なリーダーとなり、2000年には創立者の一人である滝沢修さんの死去にともない、奈良岡朋子さんとともに代表に就任しました。

高倉健が大滝秀治の演技力に涙

『駅 STATION』『居酒屋兆治』『あ・うん』など、降旗康男監督と高倉健さんのゴールデンコンビ作品でも名脇役ならではの演技力を披露してきた大滝秀治さん。

2012年に公開された『あなたへ』は、2014年に死去した高倉健さんの最後の映画として有名ですが、大滝秀治さんの遺作でもあります。

高倉健さんは大滝さんとの撮影時、泣くシーンではないのに涙がでたと明かしています。

それは大滝さん演じる漁師が「久しぶりに、きれいな海ば見た」と告げるシーンでした。

当初はつまらないセリフだと思っていたという高倉健さん。

セリフは言う役者で変わることを改めて思い知らされたそうです。

あの時の大滝さんの演技に間近で触れて、あの相手役でいられただけで幸せだったと語るほどですから、いかに味わい深い名演だったかがわかります。

とても短いセリフなのですが、大滝さんの感慨深げな表情はドラマに何ともいえない余韻を与えることになりました。


「壊れたハーモニカ」と評された特徴ある声で、後年はナレーターの仕事でも多くの人を魅了した大滝秀治さん。

自分の欠点をどうとらえるか、どう長所にするかは自分しだいということを教えていただいたような気がします。

演じてきたさまざまな役柄の深みは、ご本人の役者人生の深みなのかもしれません。

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