古典作品はもちろん、 蜷川幸雄さん演出による『NINAGAWA十二夜』や 三谷幸喜さん演出による『決闘！高田馬場』など、新作歌舞伎にも取り組んできた市川猿之助(4代目/いちかわえんのすけ)さん。
歌舞伎へ進出した従兄・香川照之さんや俳優の高橋一生さん、市川海老蔵さんとの関わりや俳優としての評判についてまとめました。
市川猿之助(4代目)の従兄・香川照之が市川中車を襲名！
香川照之さんは幼少時に両親が離婚し、母親の浜木綿子さんに引き取られたため、梨園とは離れて育ちました。
市川猿之助(4代目)さんは従兄である香川照之さんの存在は知ってはいたものの、ずっと疎遠だったそうです。
2006年のある日、祖母・高杉早苗さんのお墓参りのために訪れた寛永寺で初めて顔を合わせたといわれています。
その後、香川照之さんは大河ドラマ『風林火山』でドラマに初出演する従弟の挨拶回りに付き添うなど、先輩としてサポート。
また香川照之さんの歌舞伎界入りにあたっては市川猿之助(4代目)さんがアドバイスをするなど、良好な関係に。
市川猿翁さんの長男として生まれながら、両親の離婚により歌舞伎とは無縁に育った香川照之さん。
46歳での挑戦について、市川猿之助(4代目)さんは「無謀だな」と率直にコメントしました。
歌舞伎は幼い頃から稽古に励む厳しい芸事の世界。
このことは歌舞伎に詳しい人でなくても認識しているでしょう。
歌舞伎俳優からみれば無謀と思うのも当然です。
しかし香川照之さんは、自分が生まれてきた使命だと語りました。
歌舞伎役者は襲名制のため、本名で活動することは認められていないそうですが、特例として、俳優業では「香川照之」、歌舞伎業では「市川中車」の名前を使い分けることが認められたそうです。
市川猿之助の10年来の大親友・高橋一生！
2007年の『風林火山』以降、ドラマ、映画、現代劇、バラエティ番組にも多数く出演している市川猿之助(4代目)さん。
歌舞伎界以外にも交友関係が広いことで知られています。
毎日のように遊んでいたという高橋一生さんとは、『風林火山』での共演をきっかけに親しくなったそうです。
武田信玄役を市川猿之助(4代目)さんが、側近の駒井政武役を高橋一生さんが演じました。
市川猿之助(4代目)さんに抱いた第一印象について、高橋一生さんが「とても品性のある方」「酔うとカワイイ」と振り返ります。
高橋一生さんがブレイクしたことで、最近はあまり会えていないかもしれませんね。
市川猿之助vs.市川海老蔵！
「市川猿之助」は、成田屋の門下だった初代市川猿之助が興した澤瀉屋(おもだかや)の名跡。
成田屋の市川海老蔵さんにとっては弟子筋にあたります。
なにかと市川宗家に注目が集まる歌舞伎界において、スーパー歌舞伎で孤高の闘いを挑んできた先代を尊敬している市川猿之助(4代目)さん。
市川海老蔵さんに対してライバル心を抱いているのは間違いないでしょうね。
その市川海老蔵さんは中村獅童さんと組んで、宮藤官九郎さん脚本、映画監督の三池祟史さん演出による六本木歌舞伎を上演。
このオリジナル歌舞伎を市川猿之助(4代目)さんが意識しなかったはずはありません。
成田屋vs.澤瀉屋。
次世代の歌舞伎界を担うのは誰でしょう。
歌舞伎評論家の喜熨斗勝(きのしまさる)さんはこう述べています。
近代はやはり稼ぎ頭が偉いんです。
お客さんが呼べる家は栄えていきます。
つまり一門のなかにスターが誕生するかどうか。
それがいまは海老蔵であり、猿之助であるわけです。
ともあれ、この二人にはこれからも思いきり活躍してほしいものです。
市川猿之助の評判は？
2015年、市川猿之助(4代目)さんは新風を巻き起こして日本中を驚かせました。
スーパー歌舞伎Ⅱの新作として、人気漫画『ONE PIECE』を歌舞伎にしてしまったのです。
スーパー歌舞伎は夢の国ディズニーランドのような歌舞伎であり、古典の現代語訳と思って観にきてほしいと語っています。
漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎さんも大絶賛。
立役、女形、舞踊に至るまで、優れた表現力に富んでいると評判の市川猿之助(4代目)さん。
当たり役は、なんといっても『義経千本桜』の「四ノ切」の舞台でしょう。
自ら主宰していた自主公演「亀治郎の会」で初演したこの舞台を観た先代が、「猿之助」の名跡を譲る決意をしたそうです。
「生涯千回以上は演じたい」と語っていることからも、思い入れの強い役であることがうかがえます。
歌舞伎には、変わらない部分が必要な一方で、変わっていかないといけない部分もあると言う市川猿之助(4代目)さん。
確かな実力で、今最も注目される花形歌舞伎役者の一人です。
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