生涯にわたって各地を旅しながら、数々の短歌を残した若山牧水(わかやま ぼくすい)。
今回は酒と旅を愛した彼の生涯に迫ります。
牧水の酒好きがうかがえるエピソード、死因、生家、旅の人生、短歌の特徴を見ていきましょう。
若山牧水のプロフィール
本名:若山繁
生年月日:1885年8月24日
死没:1928年9月17日
身長:156cm
出身地:宮崎県東臼杵郡東郷村(現在の日向市)
最終学歴:早稲田大学英文学科
酒を愛した若山牧水
牧水は酒をこよなく愛し、多い時は1日に2升5合、およそ230リットルもの酒を飲んだそうです。
好んだ酒の種類はさまざまで、日本酒をはじめ、ウイスキーや生ビールも愛飲しました。
酒自体の味ではなく、口に残る香りをしっかりと味わうのが、酒の醍醐味と考えていたそうです。
また宴会を好まず、1人で静かに杯を傾けるのが好きでした。
大人数で騒ぐ宴会では、酒を真に味わえないと考えていたのです。
🇯🇵きょうは何の日/愛酒の日.
酒をこよなく愛した歌人・若山牧水の1885年の誕生日にちなむ。
牧水の本名は繁(しげる)、18歳のとき号を牧水に。由来は、当時最も愛していたものの名二つを、つなぎ合わせたものという。牧はまき、母の名で、水は生家の周りにある渓や雨からとか。 pic.twitter.com/V5Zm98Xjwb— 大地 光 (@daitihikaru) August 23, 2017
宴会は騒ぐことが目的で、酒が手段になってしまうため、1人で酒そのものを楽しむことを愛したのでしょう。
彼は酒にまつわる短歌を多数残しています。
代表作は以下です。
「かんがへて 飲みはじめたる一合の 二合の酒の 夏のゆふぐれ」
「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」
生涯に詠んだ歌およそ7千首のうち、酒にまつわる短歌は2百首といわれています。
酒豪だった牧水の人柄が、残した作品からも直に伝わってきますね。
43歳の若さで亡くなった死因
1927年、牧水は妻と2か月の朝鮮旅行に出かけていましたが、体調を崩して帰国。
翌年に日光浴によって足の裏に火傷を負い、下痢と発熱を起こします。
さらに大量の酒を飲み続けたことによる肝硬変と胃腸炎を併発。
9月17日、沼津市の自宅で亡くなりました。
43歳の若さでしたが、死の大きな要因は肝硬変だったそうです。
大量の酒によって肝機能に異常をきたしてしまったのでしょう。
彼は暑さ厳しい夏に亡くなりましたが、死後しばらくは遺体から腐臭がしなかったそうです。
医者は「生きている時から、アルコール漬けになっていたのかもしれない」と驚いたといいます。
酒好きだからこそ詠める優れた歌を残した牧水ですが、できれば飲酒量を控えて、長生きしてもらいたい人物でしたね。
若山牧水の生家は一般公開
牧水は宮崎県東臼杵郡東郷村、現在の日向市で医師・若山立蔵の長男として生まれます。
生家は1845年(弘化3年)、祖父の若山健海が建築。
今でも復元保存され、「若山牧水記念文学館」と共に一般公開されています。
若山牧水先生の生家に来ました(╹◡╹) pic.twitter.com/XjTj585DCy
— tubaki528と1y♀ (@tubaki528) May 26, 2017
牧水は3人の姉たちに見守られる中、縁側で生まれました。
縁側はそのまま保存されているため、彼が産声をあげた当時の雰囲気を感じられるでしょう。
1966年には宮崎県史跡文化財に認定され、観光名所となっているそうです。
酒と放浪の歌人が生まれた土地の雰囲気を感じたい人に、おすすめの文学スポットといえますね。
若山牧水と旅
酒と共に旅を愛した牧水。
各地を転々と旅しながら、さまざまな歌を詠みました。
牧水は生来、人間と交流するよりも、1人自然の中で過ごす時間を大事にしていた可能性が高いです。
だからこそ妻子を持ってからも、各地を旅し、自然にまつわる歌を数多く残しました。
1か所で安定した生活を送るより、どうしても旅へ出かけずにいられない性格だったのでしょう。
短歌の特徴
牧水が自然について詠った作品の特徴は、言い知れぬ寂寥感が漂っていること。
「白鳥(しらとり)は かなしからずや空の青 海のあをにも 染まずただよふ」は彼の代表作。
空と海のどちらにも染まらず、ただ1羽で飛んでいる白鳥に、孤独な自分を投影させました。
作品を詠った当時23歳だった牧水は、大学卒業後の進路に迷っていたようです。
文学の道へ進むか、就職するか迷う彼は、どこにも属せず孤独を感じていたのかもしれません。
叶わぬ恋を詠った作品という説もありますが、いずれにせよ表現の難しい寂寥感を見事に切り取った名作です。
わずか43年の生涯で、7千首もの名歌を残した牧水。
自身の好きなものを突き詰めた流浪の人生に心惹かれる人は、これからも後を絶たないでしょう。
石川啄木の生涯。秀才の生い立ち、生家は岩手盛岡。函館とのゆかり
コメント
2升5合が230Lって間違えるにもほどがあるでしょう。
4.5Lです。
至急訂正を。