連城三紀彦、結婚せず独身で死去。直木賞作家の経歴。最高傑作は?

二転三転する展開や生々しい人間描写で知られた作家・連城三紀彦(れんじょう みきひこ)さん。

結婚せずに生涯独身を貫いた背景、2013年に死去した際の詳細に迫りましょう。

また直木賞受賞作と受賞までの経歴を確認。

さらに直木賞受賞作とは別の、最高傑作とされる作品についても見ていきます。

連城三紀彦のプロフィール

本名:加藤甚吾

生年月日:1948年1月11日

死没:2013年10月19日

身長:不明

出身地:愛知県名古屋市

最終学歴:早稲田大学政治経済学部

連城三紀彦は結婚せず生涯独身

連城さんは結婚せず、生涯独身を貫きました。

濃密な恋愛作品を次々と発表していたものの独身だったということは、作品を書く際はかなりの想像力を駆使していたのでしょう。


あるいは4人の姉がいたため、女性の気持ちを一般的な男性より理解できる能力があったのかもしれませんね。

29歳頃、一時は結婚を考えた恋人がいたそうですが、結局別れています。

一度は愛した彼女への想いを尊重し、ほかの女性は好きにならないようにしていたのでしょうか。

また父の実家が浄土真宗寺院だったため、1985年に連城さん自身も東本願寺で得度しました。

40歳を目前にして仏に仕える身となったからには、もはや恋愛をする必要もなかったのでしょう。

後半生は作家兼僧侶として仕事に励み、母の介護にも努めていました。

結婚を考える余裕すらないまま、65年の生涯を駆け抜けたといえるかもしれません。

連城三紀彦は胃がんで死去

2008年に『造花の蜜』で第9回本格ミステリ大賞の候補となった連城さん。

ベテラン作家として活躍していた同年末、10年に渡り介護していた母が亡くなりました。

その後、連城さん自身に胃がんが見つかり、闘病生活の中で小説を執筆し続けます。

亡くなる前年の2012年まで「小説宝石」に『処刑までの十章』を連載し、プロ魂を見せつけてくれました。

胃がんの治療は数年に及びましたが、肝転移しており、もはや救いようのない状態だったそうです。

2013年10月19日、名古屋セントラル病院で65年の生涯を終えました。

翌年には短編集『小さな異邦人』、長編『処刑までの十章』『女王』が刊行されます。

亡くなってからもなお読者を楽しませてくれた、大衆作家の鏡のような人だったといえますね。

連城三紀彦は『恋文』で直木賞を受賞

大衆作家のイメージがある連城さんですが、当初は映画のシナリオライターを目指していました。

早稲田大学在学中は大学付近の大映に出入りし、増村保造監督にシナリオを見てもらうこともありました。

さらにシナリオの勉強のため、パリに留学しています。

本格的にシナリオライターを目指していたことがうかがえますね。

しかしパリから帰国後、入りたかった大映が倒産していたため、シナリオライターの道を諦めました。

映画が大好きだった連城さんは、普段は物静かでしたが、映画の話になると能弁になったそうです。

きっと小説も映画の展開を参考に執筆していたため、連城作品は映像化しやすいものが多いのでしょう。

1984年に直木賞を受賞した『恋文』は、恋愛小説の傑作と呼ばれています。

余命いくばくもない元恋人のため、妻子と別れる男の物語です。

代表作『戻り川心中』が神代辰巳監督による『もどり川』として映画になった際、主演を務めたのが萩原健一さんでした。

そのため連城さんは『恋文』を書く際、萩原さんをイメージしていたといいます。

結果的に『恋文』も萩原さん主演、神代監督によりが映画化されました。

こうして映像化作品の多い、人気大衆作家としての地位を確立するのです。

連城三紀彦、塾講師から大衆作家になるまでの経歴

連城さんは早稲田大学卒業後、姉が運営していた名古屋市の「加藤塾」で講師をしながら、作家デビューを目指し続けました。

1977年に『変調二人羽織』で第3回幻影城新人賞を受賞。

同作が探偵小説の専門誌「幻影城」に掲載され作家デビューを果たしました。

トリッキーなミステリーで高く評価された連城さん。

しかし『恋文』で直木賞を受賞後は、大衆小説をメインに執筆するようになります。

同時にミステリー作家としての手腕も生かし続け、心理劇やサスペンスなども幅広く書き続けました。

40歳手前で僧侶となり、母の介護にも明け暮れるようになります。


2005年頃から一時期、介護に専念するため休筆。

介護を終えると自身の胃がんが見つかり、残念ながら65歳の若さで亡くなるのです。

連城三紀彦の最高傑作は?

連城さんの最高傑作は何でしょうか。

多くの人は2002年のミステリー作品『白光』を高く評価しているようです。

平凡な家庭の生活が、幼い姪が殺害されたことで崩壊するストーリーです。

人間の抱える闇の生々しい描写、二転三転する展開。

手に汗握るミステリーとして楽しめるだけでなく、精緻な展開が傑作として評価される理由でしょう。

『白光』は直木賞受賞作の『恋文』から約20年後に書かれました。

『恋文』も傑作ではあるものの、技巧が熟練の域に達してからの『白光』の方が、より深みのある物語といえるかもしれません。

『白光』は連城さんの最高傑作にふさわしい名作でしょう。


ただし人によっては美しい文体の『戻り川心中』、傑作ミステリー集『夜よ鼠たちのために』などを評価する人もいるはずです。

連城さんの作品は好みが分かれることも多いため、ぜひ一度手に取って、自分の中の最高傑作を見つけてみてください。

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