ちばあきお、最後は自殺なぜ。妻・文江ほか家族について。ちばてつやは実の兄だった

中学生の球児たちを描いた『キャプテン』や、高校生になった主人公を追ったスピンオフ作品『プレイボール』など、いまだ愛される名作で知られるちばあきおさん。

『チャンプ』連載中の急死には多くの人が驚きましたが、最後が自殺だったことも衝撃的でした。

自ら命を絶った理由に迫るとともに、妻や家族、兄のちばてつやさんら兄弟についてお送りします。

ちばあきおのプロフィール

本名:千葉 亜喜生

生年月日:1943年1月29日

出身地:満州国

職業:漫画家

代表作:プレイボール

ちばあきお、最後は自殺だった

1984年9月13日、41歳の若さで急逝したちばあきおさん。

仕事場の2階で首を吊るという痛ましい最後でした。

連載中のボクシング漫画『チャンプ』が絶筆となってしまいましたが、最終回の第8話はチーフアシスタントだった高橋広さんが下絵をもとに完成させています。

ちばあきおさんは躁うつ病に悩まされたことがあり、自殺に至った直接的な原因も躁うつ病といわれています。


『チャンプ』連載中に酒量が増えていたことや、真面目かつ完璧主義者であるがゆえに苦悩し、お酒に逃げていたことなど、知られざるちばさんの姿を長男の一郎さんや漫画原作者の武論尊さんらが明かしています。

その最後を「漫画の世界で戦死」「漫画との心中」と武論尊さんが表現しているのが胸に刺さります。

実兄のちばてつやさんは、弟をもっとも苦しめたのは『キャプテン』と『プレイボール』の同時連載だったと指摘。

1972年に連載開始した『キャプテン』の大ヒットを受けて、翌1973年には初代キャプテン谷口タカオの高校時代を描く『プレイボール』の連載もスタートしました。

並行連載という忙しさの中で、やはり無理がたたったのでしょうか。

墨谷二中時代の後輩の丸井やイガラシも墨谷高校野球部に加わり、「いよいよ甲子園出場か?」という場面で、連載は尻切れトンボな形で終了してしまいます。

理由はドクターストップでした。

心身ともに回復したら続編を描きたいとちばさん自身がコメントしていただけに、訃報に接して、永遠に続きが読めなくなったとショックを受けた読者は多かったことでしょう。

翌1979年には『キャプテン』の連載も終了。

『ふしぎトーボくん』で仕事を再開するまで、じつに3年も休筆することになりました。

ちばあきおの妻・文江は里中満智子の親友

ちばあきおさんの妻は文江さんといい、ちばあきおプロダクションの代表をつとめていました。

2016年に長男の一郎さんが代表を引き継いでいます。

文江さんはなんと、里中満智子さんの高校時代の同級生なのだそう。

親友だった二人は、ともにちばてつやさんの漫画を読んでいました。

ちばあきおさんと文江さんの交際のきっかけをつくったのも里中さんだったそうです。

2017年には『プレイボール』の続編『プレイボール2』がコージィ城倉さんの手によって作品化され、再び人気を博しました。

2020年10月16日に発売された10巻の巻末には、一郎さんと里中さんの対談「私の親友がてつや先生の妹になった日」が掲載されています。

結婚した時期については、一郎さんが1975年生まれであることと、在りし日の父の姿をつづった『ちばあきおを憶えていますか』が手がかりになりそうです。

同著の第2章の時代区分は1958年から1972年までで、結婚・デビュー・『キャプテン』連載開始のエピソードが語られていることから、結婚したのは1972年以前と考えてよさそうです。

妻・文江、長男・一郎以外の家族は不明

ちばあきおさんには妻・文江さんと長男・一郎さんがいることがわかっていますが、一郎さんの兄弟姉妹についてははっきりしておらず、家族構成は不明です。

父が他界したとき、一郎さんはまだ9歳でした。

父親の存在がある日突然消えてしまうという体験は、やはり心に大きな影を落としたのでしょう。

気持ちが荒みがちになり、いろいろなことから逃げ回る時期もあったそうです。


苦しんだり悩んだりした末に、父親の喪失をようやく受け止められるようになったとき、自分が少し成長できたことに気づいたのだそう。

もし父が生きていたら、むしろ自立もできないろくでなしになっていたかもしれないと笑う一郎さん。

父の享年を自分が超えたとき、思うところあって、父の足跡を一冊の本にまとめようと決意しました。

前述の『ちばあきおを憶えていますか』は副題に「昭和と漫画と千葉家の物語」とあり、伯父のちばてつやさん、武論尊さん、里中満智子さん、江口寿史さん、担当編集者ら関係者に3年にわたる取材を行い、父の足跡をたどったノンフィクション。

2023年現在はちばあきおプロダクション代表として、作品の商品化プロデュースに携わっています。

『あしたのジョー』のちばてつやは実兄

満州国の奉天で終戦を迎え、略奪や暴動が日常的に起こる混乱の中、命からがら日本に引き揚げてきた千葉一家。

ちばあきおさんは4人兄弟の三男です。

4兄弟全員が漫画に携わってきたことで漫画界では有名なファミリーですが、もっとも高名なのは4歳年上の長兄・ちばてつやさんでしょう。

とりわけ高森朝雄(梶原一騎)さんと組んだ『あしたのジョー』は社会現象にもなった国民的名作。

漫画の神様・手塚治虫さんをして「私がストーリー漫画を描きはじめてから、本当に新しいものを漫画に取り入れたのはちばてつやだけだ」と言わしめたこともありました。


2022年3月には、日本芸術院に新設された「マンガ」の新会員に、つげ義春さんとともに選出されています。

あきおさんの長男の一郎さんによると、近年は二人が兄弟だと知らない若者たちも増えてきたとのこと。

「あきおがいなくなって、私の人生は本当に寂しくなった」とちばてつやさん。

兄弟はてつやさんを筆頭に、元漫画家で千葉プロダクション社長の次男・研作さん、三男のあきおさん、四男で漫画原作者の七三太朗(なみ たろう)さん。

一郎さんは、千葉4兄弟のドラマやミュージアムが実現したら面白いのではないかと夢をふくらませているようです。

魔球や○○打法といった必殺技が隆盛をきわめる時代において、実直に努力しながら成長する等身大のキャラクターを描き続けたちばあきおさん。

2023年は『キャプテン』連載開始51年目にあたりますが、『キャプテン』の世界は今なお広がり続けています。

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