村上春樹、ランニングとマラソン。音楽&ヤクルト愛について。作品のファッション

『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞して作家デビューした、村上春樹(むらかみ はるき)さん。

2017年にも長編小説『騎士団長殺し』を発表するなど、精力的に活動し続け、国際的に高い評価を得ています。

そんな村上さんは作家の中でもアウトドア気質であることが有名で、ランニングやマラソンといった長距離走のスポーツにも長年取り組んでいます。

長距離走を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

また最も好きな音楽ジャンルは何なのか、さらにヤクルト・スワローズへの愛、作品に描かれるファッションの特徴を見ていき、その素顔をのぞいてみましょう。

村上春樹のプロフィール

本名:村上春樹

生年月日:1949年1月12日

身長:168cm

出身地:兵庫県西宮市・芦屋市

最終学歴:早稲田大学第一文学部映画演劇科(現在の文学部演劇映像コース)

ランニングとマラソンへの取り組み

まず村上さんの、ランニングとマラソンへの取り組みの詳細を見ていきましょう。


ランニングを始めたのは33歳のときですが、2023年で74歳を迎えてもなお走ることへの情熱は衰えていないので、40年以上走り続けていることになります。

きっかけはこの時期から、それまで経営していたジャズ喫茶を人に譲り、専業の小説家になったこと。

運動不足の解消と、小説を書くうえで必要な体力を養うためでした。

驚くべきなのは毎日1時間、10キロ近い距離を走ることが日課である点で、年齢を感じさせないパワフルなランナーだとわかりますね。

1991年から4年間をアメリカで過ごし、大学の客員教員をしていた時期も、ランニングは欠かさなかったようです。

ランナーとして最高のコースだったと感じているのは、「ボストンのチャールズ川沿い」だと語っています。

日本では京都の鴨川沿いを走るのが好きということなので、川から届く涼しい空気とさわやかな日光を感じるのが至福の時間なのかもしれません。

ボストンのマラソン大会に6回ほど参加しているということもわかりましたので、単に趣味のランニングという域を超えて、マラソンという競技で腕試しにも挑戦するストイックさを感じました。

長年にわたって文学界の第一線で活躍し続けるバイタリティーは、長距離走によって培われたものなのでしょう。

村上春樹の最も好きな音楽は?

村上作品に不可欠な要素が、音楽です。

作家になる前、学生時代からジャズ喫茶を経営していたからこそ、音楽に対する造詣が深いのは当然。

ジャズのみならず、クラシック、ロック、ボサノバなど、あらゆるジャンルの音楽が作品を彩っています。

また和田誠さんがイラストを手掛けた、『ポートレイト・イン・ジャズ』など、音楽への愛をつづったエッセイも多数ありますね。

ジャズ喫茶の経営経験があることと、作品への登場頻度から言っても、元々いちばん好きだった音楽ジャンルはジャズに間違いないでしょう。

ただしラジオ番組で語っていた情報によると、ジャズ喫茶の仕事に熱中した結果、40歳ごろにはジャズから離れたくなったようです。

そこでビートルズなどのロック音楽を聴くようになったとのことなので、ジャンルを問わず、今ではどんな曲にも関心が高そうですね。

作品を読む限り、2000年代以降に流行った曲はあまり登場せず、古いロックやジャズばかりが登場します。

それは自身の世代にとっての「イマドキ」の音楽に関心がないためでしょう。

2002年発表の『海辺のカフカ』では、主人公カフカは15歳でありながら、古い音楽ばかりを好んで聴きます。

具体的には、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』や、クリームの『クロス・ロード』などの60年代ロックです。

2000年代の作品にこれらの音楽を盛り込むのは、やや違和感がありますね。

ただこれによって、若い世代も古い音楽に関心を持って欲しいという願いも込めているのかもしれません。

実際に村上作品に登場する音楽をネットで検索し、聴きながら読み進めるファンも大勢いるので、村上さん好みの音楽が注目を集め続けているのは間違いないでしょう。

村上春樹のヤクルト・スワローズへの愛

長距離走と音楽を愛する村上さんが、もう1つ愛してやまないものが、野球観戦です。

とくにヤクルト・スワローズのファンであることは有名。

初めて小説を書こうと思った瞬間も、明治神宮球場でヤクルトと広島カープの試合を見ている最中でした。

2020年5月22日、自身がMCを務める「村上RADIO ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽」(TOKYO FM)にて、コロナ流行後の自粛中にヤクルトの試合を1つひとつ見直したと語っています。


ヤクルトのファンクラブの名誉会員でもある村上さん。

昔のヤクルトの方が強かったと語る人も多い中、「いつでもスワローズはスワローズ。時代に関係なく、弱いからこそ応援するのが本当のファン」と発言しており、ヤクルトへの並々ならぬ愛を感じさせますね。

2020年発表の短編集『一人称単数』には、「ヤクルト・スワローズ詩集」という作品を収録。

ここまで長期間にわたって1つのチームを応援し続けるファンはなかなかいないですし、偉大な作家が応援してくれていることは、ヤクルトの選手にとっても励みになりそうですね。

村上作品に描かれるファッション

最後に、村上作品に描かれるファッションをまとめました。

アメリカ文学に影響を受けた村上作品には、基本的にTシャツやバッグ、靴などの装飾品も外国製のものが登場します。

とくに村上さんが好んで登場させているのが、アメリカのブランド「ブルックス・ブラザーズ」のスーツです。

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』では主人公の部屋にやってきた2人組の男たちが、部屋中のものを破壊する描写の際に登場。

20万円近くもしたブルックス・ブラザーズのスーツを裂かれてしまい、主人公がショックを受けるという場面です。

アメリカの名門大学に通う「アイビーリーガー」と呼ばれる人々が好んで着用するこのスーツに、村上さんも憧れがあったのかもしれません。

さらにスーツの中でも村上さんの代名詞とも言える存在が、コットンスーツ。

自身も授賞式などで着用し、作品にも登場しています。

とくにデビュー作『風の歌を聴け』で群像新人賞文学賞を受賞した際は、オリーブ色のしわだらけなコットンスーツを身にまとい、反骨精神を丸出しにした姿が話題になりました。

洗練された文体とは裏腹に、気取った雰囲気の授賞式をあまり好まないため、カジュアルな姿で対抗してみたのかもしれません。


今回は村上春樹さんの趣味についてご紹介しました。

あらゆるジャンルへの造詣の深さが、その作品に活かされているのでしょう。

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