現代日本文学の第一人者としてとび抜けた知名度を誇り、世界中に多くのファンをもつ村上春樹(むらかみはるき)さん。
父親との確執を告白した近著が話題を呼んでいますね。
今回は経歴を振り返りながらプライベートに迫ります。
卒業した高校、早稲田の学生時代に開業した国分寺のジャズ喫茶、またファンの聖地になっている喫茶店についてお送りします。
村上春樹が父親との確執を告白
『風の歌を聴け』で1979年にデビューしてから40年が過ぎた村上春樹さん。
ブームとなった『ノルウェイの森』をはじめとする長編や短編、エッセイなどで広く知られますが、アメリカ文学の名翻訳者でもあります。
自著の翻訳版は今や約40か国に広がっており、海外でも熱烈なファンを獲得。
外国人にとっては、日本という国の神秘性と、世界中で共有できる都会的な感覚のバランスが絶妙なのかもしれません。
これまで数多くのエッセイを書いてきた村上春樹さんですが、自身のルーツや家族について語ることはほとんどありませんでした。
2020年4月刊行の『猫を棄てる 父親について語るとき』を読んだ読者は驚いたことでしょう。
初出は2019年6月号の『文藝春秋』。
エッセイの中で村上さんは、2008年に他界した父親と20年も絶縁状態にあったことを告白。
「世界のMURAKAMI」のニュースはまたたく間に海を越え、海外のメディアまでが取り上げる事態になりました。
父・千秋さんは京都のお寺の次男として生まれ、20歳で徴兵されて中国大陸へ。
帰国後は大学院に進学するも、結婚して春樹さんが生まれたことで学業をあきらめ、国語教師になった方です。
父親が90歳でこの世を去る少し前、入院先の病院を訪れたという村上さん。
そこで自分と父は、ほんの短い時間ではあったけれど、ぎこちない会話を交わして和解のようなことを行ったとつづられています。
作家になって以来、なぜ長いこと父親と絶縁関係にあったのか、その核心部分は明かされていません。
これに不満を感じるか、受け入れるかは読者しだいでしょう。
公開することがはばかられる事柄を、よく「墓場まで持っていく」と言いますが、自身の胸に秘めておきたいことは多くの人が持っているのではないでしょうか。
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早稲田在学中に国分寺にジャズ喫茶を開店&聖地の喫茶店とは?
映画演劇科があるという理由で早稲田大学第一文学部に入学した村上春樹さん。
大学へはほとんど顔を出さず、アルバイトをしながらジャズ喫茶に入りびたる日々を送っていました。
22歳で友人の陽子さんと学生結婚。
アルバイトに精を出し、二人で貯金した250万円と銀行から借りた250万円を資金にして、1974年、国分寺に念願のジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店します。
ビルの地下にあり、広さは19坪、スペイン風の白い壁に木製テーブルと椅子がセンスよくレイアウトされたお店だったようです。
「オン・ザ・ロックにも哲学はあるのだ」と思いながらお酒をつくり、毎日いやというほどロールキャベツを調理していたのだそう。
のちにビルの増築のため立ち退くことになり、「ピーター・キャット」は千駄ヶ谷に移転。
専業作家になることを決意した1981年に店を友人に譲りました。
「W村上」のもう一人である村上龍さんは学生時代から「ピーター・キャット」の常連であり、デビュー前からの顔見知り。
また後年、村上作品の表紙や挿絵を手がけることになる安西水丸さんも客の一人だったそうです。
一方、海外のファンも訪れるというハルキストの聖地が荻窪の喫茶店「6次元」。
毎年ノーベル文学賞の発表を見届ける様子をメディアが取材することで有名ですね。
店主のナカムラクニオさんがこのお店を開店したのは2008年。
ジャズバーだった店舗をリノベーションしたブックカフェで、ファンたちが村上作品の読書会を開いてきました。
【新刊は明日発売!】
世界中からハルキストが集結する村上春樹の聖地・荻窪のブックカフェ「6次元」。新刊『騎士団長殺し』は明日発売!記念に足を運んでみては?
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1970年夏の出来事を描いたデビュー作。
ラジオ、レコード、☎、小説…ビールとフライドポテトとサンドイッチでさえも世界観の一つという感じ📕独特で引き込まれる会話も大いに満喫できました🍺次回は「鼠三部作」の二作目「1973年のピンボール」を読んでみます。#読了 pic.twitter.com/3q47qUQKHf
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村上春樹の出身高校と経歴まとめ
村上春樹さんは1949年1月12日、京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市で育ちました。
高校は兵庫県立神戸高等学校で、新聞委員会に所属。
国語教師の両親が日本文学について話すのに辟易して欧米の翻訳文学に傾倒していったそうです。
両親のレベルがどれほどだったかというと、食卓の話題が万葉集。
1975年、 7年間在学した早稲田大学第一文学部映画演劇科を卒業。
1979年、『風の歌を聴け』が群像新人文学賞を受賞して作家デビュー。
1982年『羊をめぐる冒険』で野間文芸新人賞、1985年『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で谷崎潤一郎賞を受賞。
1990年、『TVピープル』がアルフレッド・バーンバウムさんの訳で『ザ・ニューヨーカー』に掲載されました。
1996年 『ねじまき鳥クロニクル』で読売文学賞、1999年『約束された場所で―underground 2』で桑原武夫学芸賞。
2006年はフランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞ほか国際的な文学賞を立て続けに受賞。
2007年にリエージュ大学より名誉博士号、翌年にはプリンストン大学より名誉博士号(文学)を受けました。
2009年『1Q84』で毎日出版文化賞。
同年エルサレム賞を受賞、授賞式のスピーチでペレス大統領の顔をこわばらせます。
同年スペイン芸術文学勲章を受勲。
2016年アンデルセン文学賞、2018年にフランス芸術文化勲章コマンドゥールを受章。
2019年、ラッテス・グリンツァーネ文学賞ラ・クエルチャ部門を受賞。
世界的なビッグネームでありながら、メディアにはほとんど登場しない村上春樹さん。
インタビュー嫌いの理由として、ジャズ喫茶のマスター時代に一生分の会話をしたから、これからは本当に話したい人としか話したくないと述べています。
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