俳優業に加え、声優やナレーターとして活躍した久米明(くめ あきら)さん。
2019年時点で、世界最高齢の現役声優でした。
ネット上には、明さんの息子は久米宏さんという情報があるため、今回は真相を確認してみましょう。
また家族情報を見ていきつつ、ナレーションを担当していた番組からの引退、死去した際の詳細に迫ります。
久米明のプロフィール
本名:久米明
生年月日:1924年2月8日
死没:2020年4月23日
身長:170cm
出身地:東京都
最終学歴:東京商科大学(現在の一橋大学)
久米明の息子は久米宏?
まず明さんの息子が久米宏さんなのか、真相を確認します。
宏さんは長年、タレントや司会者として活動してきました。
「時間ですよ」や「ザ・ベストテン」などで、親しみを感じていた人も多いでしょう。
2人は苗字が同じであるだけでなく、きちんとスーツを着こなし、眼鏡をかけている点が似ていますね。
久米 明さん
ハリウッドの名優、ハンフリー・ボガードの主演映画で、ほぼ全てのボギーの声を担当と同時に「素晴らしき世界旅行」を始めとする、ナレーションの名手。
タモリ他、多くの芸人のモノマネのネタにもなるほど。
キャスターの久米 宏は、この方の事を"お父さん"と言って憚らない(笑) pic.twitter.com/q5EZDCM2vw— 主水(もんど) (@shiokininmondo) February 20, 2020
たた宏さんの巧みなトークと、明さんの味わい深い語り口とは、やや芸風が異なります。
実際のところ、2人は親子ではありませんし、親戚でもありません。
ただし宏さんは明さんのことを、大変慕っていたようです。
声を使う仕事の先輩として、尊敬していたのでしょう。
実際に宏さんは明さんを、「お父さん」と呼ぶこともありました。
周囲から親子と認識されたのは当然ですね。
2020年4月23日に、明さんが96歳で死去。
#久米明 さんご冥福をお祈りします。
よく間違われるけど👇は久米宏さん pic.twitter.com/sA5ndso9ss— SATO@2021🗾FCアマチュア最高峰闘う🔥東京五輪の年仮面 (@SATOSHI20110311) April 23, 2020
2日後に宏さんは、自身がMCを務めるTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」で、親子の噂が流れていたことに言及しました。
「彼が僕の父親という説が流れまして。事実ではないですが、僕は“お父さん”と思ってました」とコメント。
さらに「毎晩のねぇ、晩酌がねぇ」と、生前の明さんの物真似も披露しました。
2人は実際の親子ではなかったものの、親子と同じだけの強いきずなで結ばれていたのでしょう。
久米明の家族
明さんの実際の家族情報を見ていきましょう。
彼にはいずれも多方面で活躍する、3人の子供がいました。
1953年生まれの長男・久米秀作さんは、福祉研究の道に進みます。
日本体育大学大学院の体育学研究科を修了し、帝京平成大学の教授となりました。
また保育専門学校の介護福祉士養成科でも講師を務める立派な研究者です。
1957年生まれの次男は、キーボード奏者で作曲家の久米大作さん。
フュージョングループ「プリズム」に所属し、日本大学芸術学部在学中にアルバムをリリース。
その後「ザ・スクェア」をはじめ複数の団体に属したのち、作曲家・編曲家となりました。
1989年には、北野武監督の映画『その男、凶暴につき』の音楽を担当しています。
映画の他にも舞台、イベントなどで楽曲提供やプロデュースを担当する一流ミュージシャンです。
大作さんは1985年、『異邦人』で知られる歌手・久保田早紀さんと結婚。
彼は前年、久保田さんの『お友達』という曲の編曲を担当しており、仕事がきっかけで交際に発展したようです。
#久保田早紀「お友達」(1984)
作詞:三浦徳子、ご本人作曲、編曲:久米大作
ラテン歌謡というか、ジャケットも含め演歌チックな装い。当時深夜放送から流れた時も、古めかしさだけが際立ってしまった思い出が。中原めいこさんぐらい弾けた感じなら良かったかもですが、キャラに合いませんよね…。 pic.twitter.com/enM7UZkc6U
— アナログミュージックバー attic(アティック) (@attic_analog) April 8, 2021
つまり彼女は、明さんにとって義理の娘にあたります。
結婚後は歌手業から引退し、本名「久米小百合」名義で、教会音楽家になりました。
かつて歌手として一世を風靡しましたが、今ではキリスト教徒としての活動に従事しています。
また明さんの長女・久米ナナ子さんは、舞台芸術家になりました。
玉川大学で芸術を学んだのち、「オンシアター自由劇場」の演技コースを修了。
演技ではなく舞台美術に関心が移ったため、イギリスへ渡ると本格的に美術を勉強しました。
「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」で造形制作研究に励み、ギャラリーで個展を開催。
以降はロンドンと東京を拠点に、装置や衣裳デザインも手がけつつ、舞台美術家として活動中です。
「朗読・舞踊・音楽」のコラボ公演を演出し、活動の幅を広げながら、大学で芸術を教えて表現教育にも尽力しています。
明さんの子供たちは、いずれも才能と知性を兼ね備えた文化人だったのです。
体調不良による番組引退
明さんは元々、「劇団欅」や「劇団昴」に所属する舞台俳優でした。
テレビや映画でも脇役を固めていましたが、独特の味わいある声を活かし、後年は声優業をメインに活動。
ハンフリー・ボガートやアレック・ギネスなど、海外スターの吹替でもおなじみですね。
筆者は1988年の映画『ニュー・シネマ・パラダイス』における、映写技師の吹替に感銘を受けました。
久米明さん、自分はニュー・シネマ・パラダイスのアルフレード(フィリップ・ノワレ)役が印象的でした。1番好きな映画。https://t.co/4N19FfWu5M pic.twitter.com/kpZ4tPgMO1
— ヨシダ・ザ・ドライバー (@yoshidance_info) April 23, 2020
映写技師を演じるフィリップ・ノワレの口の動きに、明さんの声がぴたりと合っているのです。
実際の俳優の声質とはまったく違うものの、見る人に違和感を抱かせない、見事な吹替だった印象があります。
1995年からはNHK「鶴瓶の家族に乾杯」のナレーターを担当。
24年間務めたものの、体調不良によって、2019年3月放送分を最後に引退しました。
後任は三宅民夫アナウンサーが担当します。
家族に乾杯のナレーターが三宅民夫さんになってる。久米明さんはもう90超えてるもんなあ。
— ノブユキ (@doorknobsmz) April 1, 2019
家族に乾杯
ナレーションが
久米明さんじゃないんだがうむむむむむ お年だけど 声聞くと安心してたのに#家族に乾杯#久米明
— ずっこのず (@zukkoofzukko) April 1, 2019
引退後は都内の高齢者施設へ入所。
視聴者たちは彼の体調を心配したものの、自身は復帰に前向きだったといいます。
しかし復帰は叶わず、翌年に亡くなりました。
世界最高齢の声優として、最後までプロ意識を失わなかった、見事な一生だったといえますね。
久米明が死去、死因は心不全
明さんは2020年4月23日未明、都内の病院で96年の生涯を終えました。
死因は心不全だったため、睡眠中に自然な流れで息を引き取ったのでしょう。
昭和を知る世代にとって、吹替洋画やバラエティー番組で明さんの声が聞こえてくるのは、日常的な出来事だったはず。
「おなじみの声」を、二度と聞けないと考えれば、誰もが寂しさを感じるでしょう。
古き良き時代を体現するかのような、味わい深い声で知られた明さん。
彼の死は、一つの時代の終焉を象徴しているかのように感じられますね。
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