ノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎さんには、大江光(おおえ ひかり)さんという長男がいます。
幼少期から知的障害を持っていたものの、ハンディキャップにも負けず、プロ作曲家として実績を重ねました。
最近は活動していない様子のため、2024年現在はどのように過ごしているのか調査しました。
また知的障害の詳細、自閉症という情報、2人の兄弟、音楽に対する坂本龍一さんからの批判に迫ります。
大江光のプロフィール
本名:大江光
生年月日:1963年6月13日
身長:非公表
出身地:東京都
最終学歴:非公表
大江光、現在(2024)の様子は不明
2024年現在、光さんの様子はわかっていません。
光さんは2024年で61歳を迎えますが、2005年にアルバム『もう一度』をリリース以降、目立った活動をしていないようです。
東京都で世界的な作家・大江健三郎さんの長男として生まれた光さん。
幼少時から非常に聴覚が鋭く、鳥の声を聴き分けて正確な鳥の名前を言い当てることができました。
クラシック音楽に強い興味を示したため、11歳でピアノレッスンを受け始めます。
2年後には作曲も始め、ピアニストで作曲家の加羽沢美濃さんに師事して、作曲理論も学びました。
1992年10月に初のCD『大江光の音楽』を発表。
1994年9月には第2集『大江光ふたたび』で日本ゴールドディスク大賞に輝きました。
母方の伯父にあたる伊丹十三監督の映画『静かな生活』の音楽も担当し、1996年に日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞しました。
実力派の作曲家として活動してきた光さんは、大江文学にも大きな影響をもたらしています。
父である大江さんは長男に知的障害があることに悩み、『個人的な体験』という作品に思いをつづりました。
大江健三郎『個人的な体験』
脳に障害をもって生まれた著者の長男大江光。実体験をもとに、息子を前にした青年《バード》の《アフリカ》への現実逃避を追及する。人間の欺瞞と責任を感動の中にあぶり出す、著者の一到達点として今なお全く色褪せない名作。第11回新潮社文学賞受賞作品。#再読 #読書垢 pic.twitter.com/IrG5wyI6yc— 虹蛇@読書 (@rainbowsnake_me) July 30, 2020
その後発表した小説『新しい人よ眼ざめよ』も光さんがモチーフとなっています。
また先ほど紹介した映画『静かな生活』も、光さんをモデルとした主人公が登場する、大江作品が原作です。
佐伯日菜子主演・伊丹十三監督
『静かな生活』鑑賞。
原作は大江健三郎の同名連作小説。
女子大生のマーちゃんは作家のパパと付
添のママが外国に行く間、障害者の兄・
イーヨーの世話を任される…。個人的意
見として本作が再評価されるのはあと数
年掛かると思います。今井雅之の豹変ぶ
りが見事! pic.twitter.com/LixAAIJbUV— サノバ・アワビッチ (@awabi58531) February 25, 2022
息子の存在が父の作品に大きなインスピレーションをもたらしたことがうかがえますね。
おそらく親子で仲良く親密に暮らしてきたのではないでしょうか。
2024年現在も光さんは、世間に曲を発表することはなくても、父に対する愛情を込めて作曲に励んでいるのかもしれません。
大江光は脳の手術後に知的障害を負う
光さんは生まれつき脳の一部が飛び出ていたそうです。
その後、脳の手術をした後遺症により知的障害を負ってしまいます。
最愛の息子が障害を負った当時、大江さんと妻のゆかりさんは、暗い気分に沈んでいました。
大江さんは当時の気持ちを「穴に落ちていく」かのような気分だったと表現しています。
妻のゆかりさんも落ち込んで、ひと月も寝込んでしまったそうです。
言葉をうまく話せなかった光さんですが、鳥の声にはよく反応するため、聴覚は鋭いことがわかってきました。
そこで両親は鳥の声が収録されたレコードを聴かせて、さらに能力を伸ばしました。
結果的に音楽の世界で活動できる優れた聴覚を手に入れることができたのですね。
大江光は自閉症とは診断されていない様子
大江さんの『新しい人よ眼ざめよ』や『静かな生活』には、光さんをモデルにした青年「イーヨー」が登場します。
大江健三郎『静かな生活』
突如、ライター・イン・レジデンスとしてカリフォルニアに発った父。彼はいま、《ピンチ》にあるという。残された女子大生《マーちゃん》、大学受験を控えた《オーちゃん》、そして長男《イーヨー》は様々な困難に直面する。大江健三郎が初めて女性の視点で描いた連作短篇。 pic.twitter.com/qYnYaIeIvq— 虹蛇@読書 (@rainbowsnake_me) July 7, 2020
イーヨーは障害を負っており、独自の世界の中で生きています。
どうやら世間一般の人々には理解できない世界が見えている様子です。
イーヨーに見えている世界は「自閉症」「自閉的」と呼ばれる人々の内面の世界に近いとされています。
そのため大江作品の読者は「光さんが自閉症なのでは」と考えている人が多い印象があります。
確かに感性が豊かな光さんには、ほかの人には理解できない世界に入り込める、特殊な能力があるのかもしれません。
しかし実際に自閉症だと断言する資料はないため、おそらく確定診断を受けたわけではないのでしょう。
つまり光さんが自閉症であるかは不明です。
そのため作品を読んだだけで自閉症だと断言するのは避けた方が良さそうですね。
大江光は妹と弟がいる3人兄弟
光さんは妹と弟がいる3人兄弟です。
大江光の妹は菜摘子
妹は1967年生まれの菜摘子(なつみこ)さん。
一般人のため詳しい経歴や職業はわかっていません。
インターネット上の情報では、桐朋女子中学校・高校を卒業後、上智大学に進学したそうです。
事実だとすれば、名門大学を卒業したインテリ女性ということになりますね。
2024年には57歳を迎えるため、夫や子供がいる可能性も高いです。
知性を生かして何らかの仕事をしながら、主婦業にも励んでいるのかもしれません。
大江光の弟は桜麻
光さんの弟は桜麻(さくらお)さんです。
作家の息子らしく、個性的な名前ですね。
1969年生まれで、Facebookの情報によると東京大学の農学部を卒業したとのこと。
応用昆虫学専攻で農学修士号を取得したそうです。
勤務先は農薬の研究開発を担う三井化学アグロ株式会社と記載がありました。
ただFacebookの経歴を見ると、高校と大学の卒業年度が同じで、正確な情報はわかりません。
同姓同名の男性という可能性もあるため、信じられる情報を取捨選択する必要がありそうです。
大江光の音楽を坂本龍一が批判
かつて坂本龍一さんが、光さんの曲を「くだらない」と批判したことは、一部の人の間では有名なエピソードです。
坂本龍一は大江健三郎の息子で作曲家の大江光が障碍者だからといって芸術家として持ち上げるのはおかしいと批判したことがあった。どんな人が作った曲であれ、つまらない曲はつまらないと言うべきと。佐村河内の一件で思い出した…。
— ritmista(ひちみすた) (@ritmista_jp) February 10, 2014
光さんの音楽をどのように感じるかは人それぞれ。
ただ坂本さんからすると、プロの音楽家と呼ぶには実力が不足しているように感じられたのかもしれません。
また実験的な曲を好む坂本さんと、大衆寄りの哀切極まる曲を作る光さんでは、根本的に方向性が異なっていますね。
多くの人は「知的障害がある人の作品」と聞くと、「ハンディキャップを乗り越えて作った優れた作品」と思い込む傾向があります。
坂本さんは「その傾向こそ障害のある人をバカにしている」と断定したとされています。
「障害がある人の作品だから」と無条件に絶賛する人々のことも暗に批判したのですね。
光さんのファンは坂本さんに反発するかもしれません。
ただ坂本さんはプロとして光さんに対する厳しい意見を述べたのであり、決して誹謗中傷するつもりはなかったはずです。
むしろ今後、より良い作品を生み出して欲しかったからこそ、あえて批判的な見解を示したのではないでしょうか。
すべての芸術家が障害の有無に関係なく、作品そのものを批評してもらえる世界になるなら理想的ですね。
関連記事
大江健三郎の経歴まとめ。生家は現存。英語がカタカナ?伊丹十三は義兄&死因は老衰
大江健三郎の息子、次男は桜麻。娘と妻について。長男と家族の物語
伊丹十三の息子たち。万作と万平の今。妻・宮本信子とのエピソード
コメント