サングラスで素顔を隠し続け、「謎の歌手」と呼ばれたシンガー・森田童子(もりた どうじ)さん。
作家・作詞家のなかにし礼さんの遺作となった『血の歌』に、森田さんらしき人物が登場し、生い立ちが話題となりました。
森田さん自身はプライベートについて詳しく語らずに世を去りましたが、今回は知られざる生い立ちに迫りましょう。
また父親がなかにしさんの兄だったという情報を中心に、家族についても確認。
さらに東京都出身でありながら、青森県出身という噂が流れている理由も見ていきます。
森田童子のプロフィール
本名:非公表
生年月日:1952年1月15日
死没:2018年4月24日
身長:不明
出身地:東京都
最終学歴:高校中退
所属事務所:小澤音楽事務所※故人のため退所済み
森田童子の壮絶な生い立ち
森田さんは1952年1月15日に東京都で生まれました。祖母と両親とともに暮らした実家は、さまざまな事業を運営していたそうです。
しかし家主である父親の借金が重なり、一家は非常に貧しい生活を強いられていました。
おまけに父親は女性関係が派手で、お金が手に入るとすぐ女遊びに使ってしまっていたそうです。
苦しい生活の中でも何とか成長した森田さん。しかしせっかく進学した高校を中退してしまいました。
きっかけは学生運動に関わっていた友人が逮捕されたこと。
自身も学生運動に関係していたからこそ、上の世代から押し付けられる教育に嫌気がさしたのかもしれません。
しばらくは気ままに生活を送っていましたが、20歳のとき、非常に親しかった友人の1人が亡くなってしまいました。
それから2年後の1975年10月、亡き友人を思いながら作った曲『さよならぼくのともだち』でメジャーデビューを果たしたのです。
森田童子さん、亡くなってたんだ。
66歳ってのも驚きだけど、
最後まで謎のまま、
あの世へ旅立ったんだな。
「ぼくたちの失敗」が、
野島伸司ドラマ「高校教師」で
有名になったけど、
私はデビュー曲
「さよならぼくのともだち」が
突き刺さってくる。
お悔やみ申し上げます。 pic.twitter.com/sspZNqhwwr— オダブツのジョー (@odanii0414) June 11, 2018
何故だか知らぬが
森田童子を無性に聴きたくなる普段は考える事もないのだが
今こういう時に
政治が身近になる…
日本について考える…それでは遅いのだが…
何も考えないよりはいい
😌↓♬『さよならぼくのともだち』(by 森田童子/1975年)
全編ライブ盤→ https://t.co/eLoRYNsBOm pic.twitter.com/JobTBFkLgL— ジン (@Tokupa_jin) March 6, 2020
幼少期から青春時代にかけて、壮絶な体験をしたからこそ、人々の胸に響く曲を作る力が養われたのかもしれませんね。
森田童子の父親はなかにし礼の兄
森田さんの父親・中西正一さんは、太平洋戦争で特攻隊員として活動していましたが、奇跡的に生き残りました。
しかし、つらい戦争体験によって心がすさんでしまったようで、戦後は性格が激変したそうです。
すさんだ生活を送りながらも事業に取り組みますが、多額の借金を背負い、家族に貧しい生活を送らせていました。
そんな正一さんの兄が、作家・作詞家のなかにし礼さんです。
なかにしさんの死後、別荘の引き出しから発見された原稿用紙60枚ほどの小説『血の歌』は、弟・正一さんを主人公とした物語でした。
作中には正一さんの娘である謎の歌手・森谷王子が登場します。言うまでもなく森田さんがモデルですね。
なかにし礼
「血の歌」
毎日新聞出版遺品から見つかった未発表小説が、遺族の意向で本になった。
なんと、森田童子は、なかにし礼の姪だったのだ。ドラマでビートたけしが演じた、あの破滅型の兄の娘。
短いのですぐ読めるが、重く濃厚な一冊。 pic.twitter.com/OU5XmwtBsZ— 中川右介 『不朽の十大交響曲』5月24日発売 (@NakagawaYusuke) January 21, 2022
この作品は1995年頃に執筆されたそうで、代表作『兄弟』の習作として書かれました。
作者にとって納得のいく出来ではなかったためか、未発表のまま机の引き出しの中で眠っていたのです。
2021年12月、なかにしさんの1周忌に、遺族によってようやく刊行されました。
作品では、なかにしさんが兄の借金を肩代わりしていたことが明らかにされています。
森田さんは「叔父の七光りと言われたくない」と言っていたそうで、生前はなかにしさんとの関係を隠していました。
そのためこの作品で、ようやく2人が叔父と姪であることが世間に公表され、多くの読者が衝撃を受けました。
なかにしさんも作品の出来だけでなく、姪の死後も彼女に配慮して作品を発表せずにいたのかもしれませんね。
森田童子の家族、母親は介護に追われた苦労人
貧しい生活を送っていた森田さんと家族ですが、特に苦労したのは母親でした。
一般人のため名前や年齢などの詳しい情報は不明ですが、森田さんの祖母の介護に追われていたことがわかっています。
祖母は病気のため半身不随でした。母親は寝たきりの祖母を介護しながら家族の面倒も見ており、苦労が絶えない生涯を送ったそうです。
奔放な夫を支え、家族を守り続けた良妻だったに違いありません。
森田童子は青森出身ではない
インターネット上では森田さんが青森県出身であるという噂が流れています。
函館市で行われたライブのチラシにも「青森出身」と書かれていたそうです。
しかし実際は東京都出身のためガセネタでした。
叔父のなかにし礼さんが幼少期に青森県で暮らしていたため、情報が混ざってしまった可能性が高いですね。
森田さんとなかにしさんの関係について、それだけ何度も話題になっていたことがうかがえます。
多くの人から「身内では？」と思われながらも、お互いについて一切語らず世を去った2人。
両人ともに、血筋によって注目されるのではなく、実力で評価を得ようとしたプロの表現者だったのですね。
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