陸軍憲兵大尉としてアナーキストの大杉栄と伊藤野枝を殺害した甘粕正彦(あまかす まさひこ)。
虐殺事件「甘粕事件」に名を残しながら、その後は満州映画協会の理事長として李香蘭こと山口淑子さんの活躍に貢献しました。
敗戦後の1945年8月20日早朝、青酸カリで服毒自殺を遂げましたが、子孫は2024年現在も健在なのでしょうか。
今回は甘粕の子孫の2024年現在、息子、娘の情報を家系図から確認しつつ、妻についても見ていきます。
甘粕正彦のプロフィール
本名:甘粕正彦
生年月日:1891年1月26日
死没:1945年8月20日
身長:150cm台前半
出身地:宮城県仙台市北三番丁
最終学歴:陸軍士官学校
甘粕正彦の子孫は現在(2024)も健在
甘粕の息子としてよく間違えられていたのが、哲学者・マルクス主義経済学者の見田石介です。
甘粕正彦の父・甘粕春吉の次兄の息子として生まれたため、甘粕の従兄弟にあたります。
また石介の息子は社会学者の見田宗介さん、さらにその息子は漫画家の見田竜介さんです。
竜介さんは代表作『ドラゴンハーフ』で知られています。
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意外な子孫がいることがわかりましたね。
では、直系の子孫にはどのような人々がいるのでしょうか。
以下から息子や娘、偉大な先祖、妻についても確認していきましょう。
甘粕正彦の息子は甘粕忠男
満州国建設に関わった憲兵大尉である甘粕正彦。
1932年、満州国の建設と同じ年に生まれた長男が、甘粕忠男さんです。
父が亡くなったときはまだ子供だったため、甘粕家の当主は甘粕の弟である銀行家・甘粕二郎が務めました。
忠男さんは東京の二郎宅で育ち、東京大学法学部を卒業。
三菱電機株式会社の副社長を歴任し、2017年に大腸がんで85年の生涯を終えています。
父がかつて関東大震災の混乱に乗じ、無政府主義者の大杉栄と伊藤野枝を殺害したことを、どう感じていたのでしょうか。
傀儡国家である満州国が敗戦で崩壊するとともに、自ら命を絶ち国と運命をともにした父。
経歴を見る限りでは、甘粕は家族に愛情を注ぐよりも、自身の理想に向かってひた走ったイメージが強いのではないでしょうか。
しかし満州映画協会の社員をはじめ、身近な人にとっては非常に優しい人物だったとされています。
実の息子である忠男さんには、資料では確認できない優しいまなざしを向けることがあったのかもしれません。
甘粕正彦の娘は翻訳家
甘粕には娘が2人いたようですが、長女については情報がないため、夭折した可能性が高いです。
次女の和子さんは、父の死後、叔父である二郎の養女として育ちました。
早稲田大学でロシア文学を学び、モスクワ大学に留学したのちロシア語の翻訳家となっています。
息子については忠男さんの名前しか確認できないため、ほかに男児はいなかったのかもしれません。
ただ忠男さんや和子さんなど複数の子供たちがいたのですから、彼らが甘粕の孫やひ孫をもうけている可能性は極めて高いです。
直系の子孫は今もどこかで暮らしているのではないでしょうか。
前述した通り、甘粕は身内や周囲の人には優しい一面を見せることもあったそうです。
しかし虐殺者・傀儡国家建設者という悪名もつきまとっています。
子孫たちは家族の平穏な生活を守るためにも、甘粕に恨みがある人を刺激しないよう、なるべく静かに暮らしているのかもしれません。
甘粕正彦の家系図、由緒ある戦国武将の家柄
甘粕の祖先は武将・甘糟備後守景継です。
2009年のNHK大河ドラマ『天地人』ではパパイヤ鈴木さんが演じていました。
ぼんやり、天地人の高視聴率はひとえに加藤清史郎くんのおかげだったんじゃないかとぼんやり思った回想シーン。
それにしても、パパイヤの子供の頃からの頭のこんもりはなんなのか…（´-`）#天地人 pic.twitter.com/xlbxWFMEM2
— 𝚑𝚒𝚢𝚘𝚔𝚘𝟿𝟿 (@XyFake00) May 31, 2017
景継は上田庄(現在の新潟県南魚沼市)の登坂家で生まれています。
上杉謙信の命により甘糟家の家督を継ぎました。
謙信の死後に起きた家督争い「御館の乱」では、上杉景勝側の武将となり活躍しています。
景勝から厚く信頼され、護摩堂城や白石城などの城代を歴任。
上杉家の家臣では直江兼続と大国実頼に次いでナンバー3の石高を誇りました。
由緒ある甘粕家の子孫に、米沢藩士として活動し、明治維新後は宮城県警部となった甘粕春吉がいます。
春吉は、仙台藩士・内藤与一郎の娘である志けと結婚。
夫婦の間に生まれた息子こそ甘粕正彦です。
甘粕正彦の弟たちには銀行家となる甘粕二郎、陸軍大佐となる甘粕三郎がいます。
武将・藩士の家系であることを考えれば、国に対する忠誠心が強い軍人を多く輩出したことが納得できますね。
甘粕正彦の妻はミネ
甘粕の妻はミネという女性でした。
１９４５年 #8月20日 は甘粕正彦が自殺した日。
角田氏の著書を読むと、甘粕以上に孤独だった妻ミネの方が気になる。
甘粕は妻を連れて人前へ現われたことがなく、旅行にも子供しか連れていかなかったという。自決の時も妻宛の遺書はなかったが、妻は戦後「私は幸せだった」との言葉を残している。 pic.twitter.com/E0dWuvJdCA— 獅子宮敏彦「豊臣探偵奇譚」ハヤカワ文庫ＪＡ 発売中 (@ShishiguToshi) August 20, 2022
夫が財産も残さずに亡くなった後、1947年に着の身着のまま満州から帰国しました。
17歳の和子さんと15歳の忠男さんを連れて、実家がある福島県安達郡上川埼村に引き揚げています。
その後は英語教師として子供2人を育て上げました。
1970年3月31日、忠男さんに見守られる中、73年の生涯を終えています。
ミネは自分の人生を振り返り「私は幸せだった」と語っていたそうです。
敗戦と夫の死によって辛酸をなめながらも、苦労を乗り越える力のある、気丈な女性だったに違いありませんね。
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