『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』などで知られる伊丹十三(いたみじゅうぞう)監督。
脅迫や嫌がらせに屈することなく、社会の暗部を描いた作品を発表し続け、そのコミカルな演出で楽しませてくれました。
突然の死は衝撃的でしたね。
暗殺説など、いまだにさまざまな憶測が飛び交う伊丹監督の死因について真相を探ります。
伊丹十三のプロフィール
生年月日:1933年5月15日
出身地:京都府京都市右京区鳴滝泉谷町
身長:180cm
血液型:A型
最終学歴:愛媛県立松山南高等学校
伊丹十三は偽装自殺? 暗殺だった?
1997年12月20日、伊丹プロダクションのある港区麻布台のマンション下で遺体となって発見された伊丹十三監督。
謎の急死は世間を震撼させ、死因がいろいろと取り沙汰されました。
当初注目されたのは、「死をもって潔白を証明する」というワープロ書きの遺書があったという報道。
26歳OLとの不倫関係が写真週刊誌に掲載されることに対する、監督自身の抗議の自殺というものでした。
生前、伊丹監督は不倫疑惑を完全否定しています。
「友達で肉体関係はありません。
今度の作品にOLの話が出てくるので、取材するのに会っているだけ」
日がたつにつれ、自殺に対するさまざまな疑惑が浮上します。
例えばワープロで打たれた不自然な遺書。
レタリングデザイナーでもあった監督は、手書きの文字に人一倍愛着を持っていました。
そして、名エッセイストらしからぬ拙い文章。
記者から不倫疑惑について問われた際は、笑いながら、
「妻に聞いてみればいいよ」
「(不倫疑惑は)いつものことだから」
と軽く受け流していたこと。
さらに、亡くなる3時間前、
「週明け(22日)に一斉に対応します」
と約束したこと。
古くから伊丹監督の人となりを知る人々は、警察が死因を自殺と断定した後も自殺を否定しました。
「そもそも、自死ではないのではとさえ囁かれています。
というのも、伊丹さんは、社会のタブーをテーマにした作品を手掛けることで知られる作風で、実際に様々な脅迫や被害も受けたこともあるだけに、仕事がらみの対立から何者かに恨みを買った末の“他殺説”をまことしやかに唱える関係者がいるのも事実なんです」(芸能記者)
司法解剖の結果、伊丹監督はヘネシーをボトル1本分飲んでおり、血液中のアルコール濃度及び残留量の分析の結果、それは短時間で体内に入ったものと推定されるとのこと。
法医学者はこう説明しています。
「自殺する時にお酒を飲んでから決行する人はいますが、飲む量はわずかですね。
ブランデーのような強い酒をボトル1本飲み、したたかに酔ってから自殺する人はいません。
このデータは多数の自殺事例から分析されたものです」
実際は酩酊状態ではなく、短時間で強いアルコールを多量に摂取したことによって昏睡状態に陥ったと見るのが医学的所見だそうです。
伊丹十三の死因 医療廃棄物問題説 宗教団体と暴力団説
伊丹監督の死の背景には医療廃棄物問題があるとする説があります。
他界から約3か月経った3月31日、NHK総合テレビが『伊丹十三が見た医療廃棄物の闇~病院の裏側を追った伊丹監督最後の3カ月間』を放送しました。
伊丹監督は死の5日前まで医療廃棄物問題の取材を続けていたといいます。
本来なら適切に処理されなければならない医療廃棄物が不法投棄されている事実に着目し、取材を通して一大スキャンダルを突き止めたともいわれています。
その一方で伊丹監督は、ある宗教団体と暴力団の関わりを描く次作の企画も温めていました。
このことを快く思わない暴力団関係者が監督の死に深く関わっているという説も根強くあるようです。
事実、暴力団と市民の対立を描いた1992年の『ミンボーの女』では、公開から1週間後、暴力団関係者に襲撃される事件も起きました。
とはいえ、自殺という警察の見解ももちろん頭から否定できるものではありません。
遺作となった『マルタイの女』の興行成績がふるわず、思い悩んでいたのではないかという声も浮上。
同作を自らの最高傑作と話していた伊丹監督には受け入れがたい屈辱だったという説もあります。
伊丹十三の葬式
伊丹監督の亡骸は神奈川県真鶴町営火葬場で荼毘(だび)に伏されました。
妻・宮本信子さんは、
「映画の神様のもとで、向こうで撮り続けていると思います。
私もいつか、そこへ行って演出してもらうつもりです」
と、煙突から立ち上る煙をじっと見つめながら、その光景を脳裏に焼き付けていたといいます。
『お葬式』が撮影された神奈川県湯河原町の別荘で行われた葬儀後の会見では、
「夢と現実がごちゃごちゃになっている…そんな気がします。
今はただ事実を見つめるだけで精一杯」
と立っているのもやっとの様子だったそうです。
2002年12月20日、「感謝の会」の席では、本人が決めたことですから仕方がないですけれどもとコメント。
暴漢に襲われて以来、常に死を覚悟していたともいわれる伊丹十三さん。
テーマに対する飽くなきリサーチが自らの死を招いてしまったのでしょうか。
伊丹監督の不可解な、早すぎる死が悔やまれてなりません。
いつか真相が明らかになる日はくるのでしょうか。
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