テレビドラマや映画では、どこか憎めない悪党を演じることが多かった金子信雄(かねこのぶお)さん。
菅原文太さんと共演した「仁義なき戦い」シリーズのずる賢くも人間臭い山守組長は、まさに金子信雄さんのはまり役でした。
すでに1995年に他界していますが、あまり知られていない息子や妻について、また「阿弥周子」という検索ワードについて調べてみたいと思います。
さらに、金子信雄さんの料理研究家としての顔にも迫ります。
金子信雄の息子と妻は?阿弥周子とは誰のこと?
金子信雄さんは1923年3月27日、現在の東京都台東区で誕生しました。
大正12年生まれです。
京華学園を卒業後に芸能界入りしますが、当時は文学座所属の俳優でした。
スクリーンデビューは1946年の『浦島太郎の後裔』。
その後、方向性の違いから文学座を退団しています。
1966年には、妻で女優の丹阿弥谷津子(たんあみやつこ)さんと新演劇人クラブ・マールイを旗揚げ。
二人が結婚した時期は定かではありませんが、丹阿弥谷津子さんは文化学院文学部を卒業後に文学座の研究生になっているので、文学座時代に出会った可能性が高いですね。
1952年の黒澤明監督の名作『生きる』でも共演しています。
美貌の実力派女優として評判の高かった丹阿弥谷津子さん。
80年代以降は「釣りバカ日誌」シリーズや、『はね駒』『ちゅらさん』『どんど晴れ』といったNHK連続テレビ小説への出演が知られています。
かたや金子信雄さんは、日活や東映のアクション・やくざ路線を中心に悪役として名をはせていきました。
陰謀渦巻く所にこの男あり❗️いろんな金子信雄氏。 #金子信雄 pic.twitter.com/2tGzj3pHEP
— マリオ師匠 (@undertakerbig1) 2019年3月15日
余談ですが、夫妻が立ち上げた劇団には松田優作さんも在籍していたそうです。
次に子供についてですが、金子信雄さんには金子こうじろうさんという息子がいることがわかりました。
こうじろうさんは朗読劇の演出家なのだそう。
これまで上演された作品は、高嶋政伸さんと演出を手がけた『Heart of Wildernes』のほか、母・丹阿弥谷津子さんが朗読を担当した『音と言音』など。
藤田俊太郎さん演出による2019年の朗読劇『ラヴ・レターズ』に出演した高橋克典さんがブログでこうじろうさんに触れています。
それによると、こうじろうさんは金子家の次男とのことなので、金子信雄さんには少なくとも息子が2人いることになりますね。
「阿弥周子」というワードは、おそらく女優の本阿弥周子さんをさすと思われます。
金子信雄さんの妻について検索する際に、名字が似ている丹阿弥谷津子さんと混同しやすいのでしょう。
そのうえ名字がうろ覚えというケースですね。
本阿弥周子さんは丹阿弥谷津子さんより26歳年下で、時代劇と2時間ドラマを中心に活躍する女優です。
金子信雄が料理の腕を生かして冠番組!
料理好きで食通としても知られた金子信雄さん。
『腹が鳴る鳴る』『 うまいものが食べたくて』などの著書もあり、荻窪のフランス料理店・牡丹亭のオーナーでもありました。
料理の腕前を生かして、1987年には『金子信雄の楽しい夕食』がスタート。
安い食材で簡単に作れる料理と、初代アシスタント・東ちづるさんとの軽妙なやりとりが人気を呼びました。
本番中、金子信雄さんはお酒を楽しみながら料理。
番組は1日で数回分を収録するため、月曜日の放送ではシラフなのに、金曜日の放送ではすっかりできあがり、ろれつが回らなくなることもしばしば。
お気に入りだった東ちづるさんを「ちじゅる~」と呼ぶ姿は笑いを誘いました。
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実は小学校1年生から20歳まで結核に苦しんだという金子信雄さん。
病と闘う経験をしたからこそ、好きなものを食べることや料理をすることに幸せを感じていたのかもしれませんね。
『仁義なき戦い』で菅原文太の親分を怪演!
1973年、日本映画史に残る傑作「仁義なき戦い」シリーズの第1作が公開されました。
戦後の広島ヤクザ抗争を背景に、アウトローたちのせめぎ合いを描いた群像劇です。
主人公・広能昌三役に菅原文太さん。
その親分の山守組組長・山守義雄を演じたのが金子信雄さんでした。
この役を抜きにして金子信雄さんの役者人生は語れないでしょう。
小心者でありながらずる賢く、策士。
保身のためならウソ泣きもするという癖のあるキャラクターを全5作通じて好演しています。
ヒットマンを志願した広能に、出所したあかつきには全財産を譲ると約束する山守組長。
けれども、いざ刑期を務め上げると知らんぷり。
"そがな昔のこと誰がしるかい" #山守義雄 #仁義なき戦い #金子信雄 pic.twitter.com/zWcCgq5vDq
— 春田 修 (@HAL_OSAMU) 2019年9月12日
神輿が一人で歩けるものなら歩いてみろと、松方弘樹さん扮する若頭の坂井にいさめられますが、坂井も亡き者にするという悪党ぶりです。
金子信雄さんの小憎らしい怪演も、シリーズに大ヒットをもたらした一因といえるでしょう。
また、自身もこの役と出会ったことにより脚光を浴びることになりました。
1995年、細菌性敗血症のため71歳でこの世を去った金子信雄さん。
昭和の名優が旅立つたびに寂しさを感じます。
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