佐藤優、英語勉強法とは。神学と聖書に支えられた日々。鈴木宗男事件で刑務所?

学生時代に聖書や神学を学んだ異色の外交官として、かつては在モスクワ日本国大使館に勤務していた佐藤優(さとうまさる)さん。

まずは元外交官の視点でアドバイスする英語の勉強法に注目します。

国策捜査の内幕を綴った『国家の罠』は大きな反響を呼びましたが、同著を出版するきっかけとなった鈴木宗男議員との関係や、勾留された拘置所と刑務所の違いについてもまとめます。

佐藤優のプロフィール

生年月日: 1960年1月18日

出身地: 東京都

最終学歴: 同志社大学(学士、修士)

元外交官・佐藤優おすすめの英語の勉強法とは

外務省入省後、在ソ連・在ロシア大使館勤務を経て、帰国後は国際情報局で主任分析官として活躍していた佐藤優さん。

モスクワ大使館時代は同国の政界はもとより、KGB(国家保安委員会)やロシア正教会、さらには闇社会にまで人脈を築き、国家の内情にもっとも通じた日本人として知られました。


ソ連が崩壊した1991年のクーデターの際は、独自の人脈を駆使してゴルバチョフ大統領の生存情報を外務省にいち早く報告。

その情報はアメリカより早く、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が「アメイジング!」と感嘆したほどです。

作家としての鮮烈なデビュー作となった『国家の罠』は毎日出版文化賞特別賞を受賞。

以降、大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞した『自壊する帝国』、『神学の技法』、『君たちが知っておくべきこと』など文筆家として精力的な活動を続けています。

ロシア語はもちろん、英語、ドイツ語など数か国語が堪能な佐藤優さん。

ご本人いわく、英検準1級とTOEFLスコア100はだいたい同じレベルで、外務省が「即戦力になりうる」と判断するのがこのレベルなのだそう。

ところが近年の新人外交官のうち、このレベルに達しているのはわずか3割なのだとか。

佐藤さんが入省した頃はTOEFLのスコア100は常識だったそうです。

英語の勉強法に関しては、意外にも学校で習う英語は役に立つという考えで、高校の英語を完璧にマスターしていれば英語圏で支障はほとんどないとのこと。

「完璧に」というところが少しひっかかりますね。

どの程度が完璧といえるのでしょうか。

ともあれ、まずは自分の英語力を知ることが大事であり、高校レベルの英検2級を受けてみることを勧めています。

佐藤さんによると、英検の教材はとてもよくできているので、それを使って勉強するのがいいそうです。

大学は神学部、座右の銘は聖書の言葉

佐藤優さんは同志社大学神学部在学中に日本キリスト教会で洗礼を受けたクリスチャンです。

卒業後は同大学大学院神学研究科へ進み、神学修士号を取得しました。

外交官の勤務のかたわら、モスクワ大学の客員講師として弁証法神学を教えたり、『福音と世界』『基督教研究』などの雑誌に寄稿したりと、神学に関する活動も行ってきました。

学生時代は聖書を持ち歩いていたという佐藤優さん。

伝統のある宗教は、はるか昔から多くの困難を乗り越えてきただけに、生きるヒントや知恵にあふれていると語ります。

なかでも旧約聖書の「コヘレトの言葉」は、東京拘置所の独房で過ごした日々を支えてくれ、座右の銘となった言葉。

逮捕の直前、大学時代の恩師から届いた手紙に書かれていたそうです。

佐藤さんが特に読んでほしいという3章1節から11節の一部をご紹介します。

「天の下の出来事にはすべて定められた時がある。

人が労苦してみたところで何になろう。

神はすべてを時宜にかなうように造り、また、永遠を思う心を人に与えられる」

この言葉が教えるのは、すべての物ごとにはそうなる時があるということ。

そして、私たちが納得できない出来事にも大きな摂理があることを教えています。

なぜ新型コロナのようなウイルスに脅かされるのか、なぜ志村けんさんや大切な人が亡くならなければいけないのかを今考えてほしい、と佐藤さんは述べています。

鈴木宗男事件で拘置所に勾留&刑務所と拘置所の違い

1991年、政府の特使としてバルト三国を訪れた鈴木宗男さんの通訳を務めたのが佐藤優さんでした。

鈴木宗男さんが今も「生涯の戦友」と呼ぶ佐藤さんとの関係はこの時にはじまります。

「日本のシンドラー」こと杉原千畝さんの名誉回復においても二人は尽力しました。


一部では、この件が外務省上層部の逆鱗に触れたともいわれています。

訓令違反で退職した元職員の名誉回復は、すなわち外務省の非を認めることになるからです。

2002年、ロシア外交と北方領土をめぐる疑惑として政界を揺るがせた鈴木宗男事件。

「あなたはね、疑惑の総合商社なんですよ!」という辻元清美議員の言葉はあまりにも有名ですね。

佐藤優さんはムネオ疑惑に絡んだ背任・偽計業務妨害の容疑で東京地検に逮捕され、東京拘置所に512日間勾留されたのちに保釈されました。

その後、執行猶予つき有罪判決が確定して外務省は失職。

執行猶予期間が2013年6月に満了し、刑の言い渡しは無効となりました。

正義の名のもとに発動された国家権力と対峙する自身について綴った『獄中記』を発表していますが、このタイトルから刑務所に入所したと思っている方もいるようです。

刑務所と拘置所は一見似ていますが、異なる性質の施設。

ざっくりいうと、拘置所は主に判決が確定していない人と死刑囚を収容するところ。

一方、刑務所は刑が確定し、執行中の人を収容するところ。

拘置所の死刑囚も刑が確定しているわけですが、死刑とは死刑囚を死亡させる刑罰なので、まだ執行されていないとみなされます。

ジャーナリストの魚住昭さんが「10年に一度でるかでないかの超一級のノンフィクション」と絶賛する『国家の罠』。

佐藤優さんのような人材を活かしきれなかった当時の官僚組織は国益を損なったも同然と嘆く声も多いですね。


独房の中で自身の心を支えていたのは宗教的な信念だったのかもしれません。

強靭な精神を保ち続けた佐藤優さんは頭が下がる思いです。

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