伝説の雑誌『遊』の創刊者であり、読書百科事典ともいうべきウェブサイト『千夜千冊』の連載が20年を超えた松岡正剛(まつおかせいごう)さん。
対談本が出ているタモリさんや現代の魔法使いと称される落合陽一さんとの関わりをみていきます。
また、何度か移転した事務所や提唱する編集工学、プロデュースした近畿大学図書館についても取り上げます。
松岡正剛はタモリと対談、落合陽一の著作もカバー
70年代初頭に工作舎を立ち上げ、異なるテーマを融合した先鋭的な雑誌『遊』を創刊してメディアやアート、知識人に衝撃を与えた松岡正剛さん。
編集者、著述家、実業家などさまざまな顔を持っていますが、その名前を知ったのは『千夜千冊』という人も多いのではないでしょうか。
インターネットが普及しはじめた2000年に第1夜からスタートしたこの連載は、古今東西の本の中から毎回1冊を取り上げて解説する濃密な書評サイト。
2006年には第1夜から第1144夜までをテーマごとに編纂しなおした全集が出版されました。
9万円台という価格にもかかわらず、初版が完売して出版界の話題をさらったのは記憶に新しいところです。
#松岡正剛 が祝う佐々木千佳の20周年感門之盟 Movie https://t.co/nnjW59GeJj #遊刊エディスト
— イシス編集学校 (@isis_es) October 1, 2020
少し意外な顔合わせなのですが、松岡さんとタモリさんの対談本が1980年に出版されています。
タイトルは『愛の傾向と対策』。
松岡さんは当時のタモリさんの芸風について「なぜ言葉に挑戦したのか」と訊ねており、タモリさんは「言葉があることで逆に物ごとがよく見えないことがあり、それに苦しめられたから」と答えています。
何かを言葉で理解しようとすると、かえって実像から離れていき、どんどんおかしな方向に行ってしまうという経験があったようです。
これはなんとなくわかる気がします。
何かを知るには言葉で理解するしかないということに違和感を覚えたタモリさんは、よく言葉を崩して笑いものにしており、これがハナモゲラ語などに発展したと説明。
おそらく「言葉以前のもの」に対する感性がとても鋭い方なのでしょう。
松岡正剛さんに関連して検索される人物には、メディアアーティストで大学教員でもある落合陽一さんもいますね。
父は小説家・落合信彦さんです。
落合陽一さんの著作は学者らしく縦横無尽な知識にあふれており、松岡正剛さんを思わせるという評価も。
また、松岡さんが『千夜千冊』でトマス・リッドさんの『サイバネティクス全史』を取り上げた際は、「全史」と謳いながら多くの割愛があることを嘆き、落合陽一さんの『魔法の世紀』では不備なく網羅されていることを記しました。
松岡正剛は落合陽一までカバーしてるのか。
この2人の対談が聞けたら思い残すことはないなあ#松岡正剛#落合陽一#千夜千冊 pic.twitter.com/ksBqgjSN0K— うら@42Tokyo (@mcguff1n) May 16, 2020
【「生理」への理解・・・どうすれば進む?】
働く女性の #生理 の悩み。周りの理解が進むために必要なこととは。 #落合陽一 さんの考えは?#newszero #有働由美子 pic.twitter.com/fznYjlIT4G— news zero (@ntvnewszero) November 3, 2020
ネット上には、松岡さんが落合陽一さんの著作までカバーしていることに驚嘆の声が寄せられたようです。
松岡正剛事務所は編集工学研究所のヘッドオフィス
1982年、松岡正剛さんは工作舎を退社してフリーランスとなり、松岡正剛事務所を設立しました。
業務内容は、情報文化・組織文化などの研究と調査、映像やイベントの企画、書籍やウェブの企画・編集、編集工学にもとづいた企業研修など。
スタートは港区元麻布のマンションで、当時松岡さんはスタッフとともに研究活動や職住一体型のワークスタイルをとっていたそうです。
8年後に事務所は目黒区青葉台に移転、さらに22年後に現在の世田谷区赤堤に移転しました。
自前のイベントスペース「本楼」や本の茶室空間「井寸房」は、建築家の三浦史朗さん、スペースエディターの東亨さんらとのコラボレーションによるもの。
この空間で編集工学の講義やワークショップも行われています。
松岡正剛の編集工学とは
松岡正剛さんが提唱する編集工学は、文化や芸術、生命科学、システム工学など多岐にわたる研究成果を情報文化技術に応用したもの。
「編集」というと、書籍や映像の編集といったメディア情報を扱う仕事を思い浮かべますが、松岡さんはもっと広い意味でとらえています。
そもそも私たちは朝起きてから寝るまでに、天気、体調、テレビのニュース、今日のコーディネートなど、あふれかえる情報の中で暮らしています。
こうしたさまざまな情報に対応することもいわば「編集」というわけです。
編集工学とは、編集の仕組みを明らかにして、社会に応用できる技術として体系化したもの。
1987年に立ち上げた編集工学研究所とともに、松岡さんは学校教育や企業研修をはじめとする教育の現場で編集工学によるカリキュラムに携わってきました。
校長を務めるウェブ上の学校・イシス編集学校では、編集者から主婦、学生、プランナーなど多くの分野の人々が編集工学を学んでいます。
校長校話「EditJapan2020」(1/5) https://t.co/WHx1VTdI0P #遊刊エディスト #松岡正剛 #イシス編集学校 20周年
— イシス編集学校 (@isis_es) October 26, 2020
松岡正剛がプロデュースした近畿大学図書館
2017年4月、近畿大学にオープンして話題を呼んだアカデミックシアター。
日本の大学初となる24時間対応の自習室をはじめ、今までにない大学の複合施設として企業からも熱い視線が注がれました。
メイン施設の図書館・ビブリオシアターは、一般図書3万冊を33のテーマでカテゴライズした1階のノア33、マンガ本や文庫など約4万冊を所蔵した2階のドンデンなどで構成されており、これらを監修したのが松岡正剛さんでした。
過去に丸善・丸の内本店にショップ・イン・ショップの形でプロデュースした松丸本舗が斬新な店舗づくりで好評だったこともあり、白羽の矢が立ったそうです。
注目は松岡さんが近畿大学のために考えた独自の図書分類「近大INDEX」。
目的の本を見つけるだけでなく、ふだんなら手にとらないジャンルの本と出会えるように演出されているのだそう。
通常の図書館ではけっして隣り合うことのない本が並んでいるとのことですから、興味をそそられますね。
モットーは「生涯一編集者」と語る松岡正剛さん。
これも図書に造詣の深い松岡正剛さんならではのアイディアといえるでしょう。
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