山本容子、現在(2023)の活動と版画の面白さ。夫と犬のルーカス、Web美術館について

多くの書籍の装丁・挿絵を手がけ、エッセイの著作も多い銅版画作家の山本容子(やまもとようこ)さん。

雑誌やCM出演など多岐にわたる活動で知られますが、芸術活動は2023年現在どんなようすなのでしょう。

あわせて版画の魅力、夫や愛犬ルーカスのこと、Web上に立ち上げた美術館についてまとめました。

山本容子、現在(2023)の活動

吉本ばななさんの『TUGUMI』の挿絵や装丁を手がけたことで、一躍その名が広く知れわたった山本容子さん。

舞台衣装・アクセサリーのデザインや、絵画に詩や音楽を融合させるコラボレーションなど枠にとらわれない活動を展開してきました。


各地にあるステンドグラスやモザイク壁画のパブリック・アートはファンにはおなじみ。

そんな中、山本さんが新しく創作の場を広げてきたのがホスピタル・アートです。

ホスピタル・アートとは、医療現場の患者・家族・医療従事者らを芸術の力で癒すことを目的とした提言。

山本容子さんはホスピタル・アートを新たなライフワークととらえ、2005年から熱心に取り組んできました。

きっかけは、父親が病院で亡くなった時、最期に見ていた天井があまりに無機質で味気なかったから。

アーティストとして何かできることはないだろうかと使命感を感じたのかもしれません。

最近では前橋赤十字病院「太陽の詩」「森の詩」等のステンドグラス、埼玉県立小児医療センター「星めぐりの歌」のステンドグラスなどがあります。

テレビ出演ひとつをとっても、さまざまな仕事のオファーがあると語る山本容子さん。

クイズ番組などは断り、引き受けるのは美術館を訪ねたり、絵の話をしたりする番組なのだそう。

 

自身の創作にプラスになる番組がお好みのようです。

メディア露出が多くみえる山本さんですが、やはりいちばん長いのはアトリエにいる時間だそうです。

版画家は5割アーティスト、5割職人がいい

印象的な色使いと洗練された世界観で国際的にも評価の高い山本容子さん。

版画は作者がキャンバスに直接描くものではないだけに、仕上がりを何かにゆだねるという一面がありますね。

作家たちにとっては、おそらくこの点も魅力的なのでしょう。

版画には間接技法ならではの面白さがある、と山本さん。

山本さんは銅版を手で彫る直接技法ではなく、酸が銅を腐食させる力を利用して線を彫っているのだそう。

間接法で製版するには、材質の特徴を生かす高い技術が必要とのことです。

第四十一回『浅草寺 雷門』

『浅草寺 雷門』ソフトグランド・エッチング、手彩色 / 20×29.8(原画サイズ) / 1996年制作 ©Yoko Yamamoto

銅版画家はアーティストと職人の顔を半分ずつもっているのが理想で、双方のコンビネーションが噛み合わないとよい表現ができないという山本さん。

作家性はもちろん大切だけれど、職人としての技術も向上させる必要があるそうです。

芸術家の卵へのアドバイスは、詳細な自分年表をつくっておくこと。

大ざっぱではなく、細やかに足跡を記録する感覚が大切なのだそう。

その記録をたどることで、作家としての自分の軌跡が見えてくるはずと述べています。

山本容子の夫たち

山本容子さんには二度の結婚歴があるようです。

最初の結婚は1978年1月で、25歳の時。

夫は大学院の先輩だった4歳年上の版画家・田中孝さん。

山本さんが京都市立芸術大学西洋画専攻科を修了したのは3月でした。

9月には日本現代版画大賞展で西武賞を受賞し、同時期に妊娠が判明。

しかし返ってきた夫の言葉は、自分たちの暮らしで精一杯で、とても子供をもつ経済的余裕はないというもの。

この時の子供は、やむなく堕胎したそうです。

この結婚は4年半続くのですが、この時期に山本容子さんは徐々に注目を集めることに。

夫より有名になると、夫婦関係は冷え込んでいき、ついに1982年7月に離婚。

1996年に再婚した夫は、2歳年下のテレビディレクター・氏家力さんです。

知り合ったのは旅番組『世界遺産』。

収録で長い時間をともに過ごした氏家さんに、山本さんがプロポーズしたのだそう。

ですが、この結婚生活も2004年に終わりを迎えます。

犬のルーカスが教えてくれたこと

『犬のルーカス』『犬は神様』など、犬にまつわる著作も発表している山本容子さん。


幼い頃から、山本さんの暮らしにはいつも犬たちがいました。

歴代の愛犬たちの名前は、五郎、ボスク、ヤロス、マッシュ、ルーカス。

とりわけ最後に16年間をともに過ごしたルーカスは、子供のいない彼女にとってパートナー以上の存在だったそう。

LUCA Ripoりんごの世界

「ただいまぁ~」

母さんが福島県高等学校文化連盟総合文化祭文芸部門大会の講演会から帰ってきた。

真っ赤な薔薇の花束と真っ赤なりんごも一緒。

待ち望んだ大好物!

嬉しいんだ…ボクの鼓動が聞こえたかい?母さん。

最後にルーカスが教えてくれたのは、生き物がどう自分の命を楽しみ、やがて老い、死を迎えるのかということでした。

だんだんと衰えていく自分を知っていたルーカスは、やっていいことといけないことがよくわかっていたそうです。

老いに抗わず、自然に受け入れて穏やかに生を終えること。

版画家の性なのか、つい物ごとを反転させて考えてしまうという山本さん。

「DOG」の反転させると「GOD」になることに気づいていない人は意外と多いかもしれませんね。

山本容子美術館『LUCAS MUSEUM』とは

公式サイト『LUCAS MUSEUM』の名称は愛犬へのオマージュをこめたものです。

2007年に開設された同サイトは、いわばウェブ上の美術館。

気力が充実しているうちに、数十年間の創作活動で生まれた膨大な作品を整理したいと思ったのがきっかけでした。

ご本人の解説とともに作品を鑑賞できる「EXHIBITION」や、制作風景が垣間見える「CAFÉ」など、いくつかのコーナーに分かれています。


アトリエで制作する山本さんをいつも静かに見守っていたというルーカス。

作品と同じく、ルーカスもまた美術館の中で生き続けることになりますね。

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