放浪の画家としてスケッチ旅行に出て、『東海道五十三次』を制作した山下清(やました きよし)。
49歳の若さで亡くなりましたが、死因と病気は何だったのでしょうか。
併せて「日本のゴッホ」と呼ばれた画家のすごさを確認。
さらに最高価格の作品について、オークションでの落札価格を見ていきます。
山下清のプロフィール
本名:山下清
生年月日:1922年3月10日
死没:1971年7月12日
身長:不明
出身地:東京都台東区日本堤
最終学歴:八幡学園
山下清の死因は脳出血。高血圧による病気を患った晩年
山下は3歳のとき、重度の消化不良により生死の境をさまよいました。
一命はとりとめましたが、言語障害と知的障害の後遺症を患ってしまいます。
しかしドラマ『裸の大将』で描かれたような、「ぼ、ぼ、ぼくは」という独特などもりがあったわけではありません。
多少はどもっていたものの、日常会話に支障はなかったそうです。
ドラマでは親しみやすく個性的なキャラクターを確立するため、どもりが誇張して描かれたのでしょう。
山下は至って健康的に過ごしていたのです。
しかし1968年、高血圧が原因の眼底出血を患いました。
『東海道五十三次』を制作するため、スケッチ旅行に出かけていたものの、完成を危ぶまれるほどの重症だったようです。
結果的にはおよそ5年をかけて合計55枚の作品を描きましたが、1971年7月12日に脳出血により死去しました。
山下清
「 清水 羽衣の松 」
今日は 7月12日は命日とか。以前藤枝で鑑賞した 山下清の 東海道五十三次 から。絵とピュアなコメントに感動。#山下清 #素描画 pic.twitter.com/wckhlldkWu— hatobars (@hatobars) July 12, 2020
脳出血は高血圧の人に起こりやすい症状です。
高血圧で圧迫された脳の血管が裂けて破れた結果、出血が起こります。
山下は亡くなったとき、わずか49歳の若さでしたが、高血圧で病気がちだったため重症化してしまったのでしょう。
当時は、若き日の勤め先だった我孫子市の弁当屋「弥生軒」からの依頼で、駅弁の包装紙を描いていました。
我孫子駅を通ったので、ホームの立ち食い蕎麦の弥生軒。
駅弁から撤退して久しいですね。
山下清が働いていたことで有名。
ここの駅弁掛紙にも、3枚ほど山下清の絵があります。 pic.twitter.com/HOMVheW7ZR— 鉄道文化研究所 (@haYuClOpSfuP7dh) April 23, 2021
常磐線我孫子駅の弥生軒☺️構内に駅そば3店舗ですね。駅弁屋はいつまでやってたのかな?🤔 #唐揚げそば #山下清 #アド街 #テレ東 pic.twitter.com/4ThZGf1J9q
— まさぴろ⭐️ことこと (@masa4244) December 7, 2019
四季をテーマとした4種類の駅弁の包装紙でしたが、冬がモチーフの作品は完成しませんでした。
最期まで絵の制作に情熱を燃やし続けた、太く短い生涯だったのです。
山下清は日本のゴッホと呼ばれた天才画家
孤高の天才画家のイメージが強い山下は、同じく早世した西洋の画家に例えられ、「日本のゴッホ」と呼ばれました。
いずれも美しい風景を独自の感性で切り取った、彩り鮮やかな作品で知られていますね。
暇なので
ヴァンサン・ヴァン・ゴグゴッホのフランス語読み
山下清さんは和製ゴッホと
言われてたそうな pic.twitter.com/DuJA9snQKu— Ratata (@Ratata98328292) July 10, 2021
FESTIVARENAいよいよ開演
#名画に学ぶスピッツ
山下清氏 『長岡の花火』より pic.twitter.com/LFK8t7Sloc— どる (@bergen_no) May 8, 2020
山下は日本画壇で竹久夢二と並ぶ人気を誇りますが、一般的にはあまり評価されていないようです。
タンクトップ姿でおにぎりを食べる「裸の大将」のイメージが定着したため、作品自体を評価する動きが少ないのかもしれません。
しかし彼はすさまじい記憶力の持ち主だったため、旅先の風景をその場で描くのではなく、記憶に残して描くこともありました。
甥の山下浩さんによると、山下は抜群の記憶力を活かしつつ、アレンジを加えながら創作していたそうです。
つまり彼の絵は、実際の風景そのままではなく、山下流のアレンジによって描かれたものでした。
ただ風景を脳内にインプットして、旅先から時間をかけて家に帰ってから描く手法は、相当な記憶力がなければ不可能でしょう。
映画『レインマン』(88年)の主人公は、並外れた記憶力が特徴の「サヴァン症候群」という病気を患っていました。
山下もまた「サヴァン症候群だったのでは」と推測されているようです。
確定診断を受けたわけではないため断定できませんが、抜群の記憶力から考えると可能性は高そうですね。
驚異的な記憶力と見事な画力は、やはり天才画家と呼ぶにふさわしい要素でしょう。
彼を面白おかしいキャラクターとしてではなく、画家として正当に評価する動きが高まれば理想的ですね。
最高価格でのオークション落札価格は?
天才画家と呼ばれた山下ですが、作品はオークションでどの程度の価値が付いているのでしょうか。
山下作品の多くは、今も遺族が保管しているため、市場に出回っていないとされています。
しかし旅先の人や知り合いに作品をプレゼントすることもあったため、ごくたまに山下作品が発掘されることもあるようです。
本物の山下作品だった場合は、希少価値のある分、高値で取引される場合があります。
肉筆が元になっている「リトグラフ」作品は、発行枚数によっては数万円ほどで取引されるようです。
これまでの最高価格は公表されていないようですが、ネットオークション「ヤフオク!」での落札価格をチェックできました。
秋の富士山を描いたと思われる『富士山』の落札価格は364,000円でした。
ほかの作品価格は平均数万円程度のため、かなり高額で落札されたといえますね。
また色鮮やかな油絵『長岡の花火』は319,000円と、こちらもかなり高額で落札されたようです。
当然ですが、「肉筆保証」が付いた作品ほど高額という結果が出ています。
安い作品であれば数千円のものもあるため、天才画家の作品を楽しみたい人は、ぜひネットオークションをのぞいてみてください。
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