80年代から90年代にかけて、「浪速の爆笑王」と呼ばれて広く愛された桂枝雀(2代目/かつらしじゃく)さん。
その最期を知る今となっては複雑な気持ちになりますね。
落語という伝統芸能を極めるなかで天才ゆえの悩みを抱えていたのでしょうか。
この記事では活躍中の弟子をはじめ、自分のお笑いの原点と語る松本人志さん、兄弟弟子になっていたかもしれない上岡龍太郎さんについてお送りします。
天才と呼ばれた桂枝雀(2代目)とは?
桂枝雀さんは本名を前田達(まえだとおる)さんといい、1939年8月13日に兵庫県神戸市で誕生しました。
中学3年の時に父親が他界したため、働きながら定時制高校へ。
神戸大学に進学するも、大学はたいしたところではないと見切りをつけて中退し、「桂小米」として桂米朝師匠の内弟子になります。
小米時代の芸風は、晩年とは違う上品で繊細なものでした。
「うまいけれど暗い」と評されて悩んだそうです。
ストイックで生真面目な性格だったことから自身の芸に満足することがなく、また弟子や家庭を持ったことへのプレッシャーもあり、30代半ばで最初のうつ病を発症。
病気の克服を機に、これからは笑いの仮面をかぶろうと決意します。
俺は明るくならなくちゃと周囲に話していたそうです。
「桂枝雀」襲名後は、これまでの芸風をがらりと変え、オーバーアクションぎみの所作や饒舌な語りで寄席を爆笑の渦に包んでいきました。
今でこそ高座のパフォーマンスは多彩ですが、当時は型破りなスタイルだったといえるでしょう。
上方落語の爆笑王として米朝師匠にひけをとらない人気者になりましたが、50代後半でうつ病が再発。
1999年3月に首吊り自殺を図り、そのまま意識が戻ることなく翌月に死去しました。
59歳でした。
4月19日は、2代目桂枝雀師匠の命日。
1999年没ということで、
あれからはや19年…。 pic.twitter.com/8x1MWGqOsO— オダブツのジョー (@odanii0414) April 19, 2018
江戸落語の異端児・立川談志師匠の言葉に「落語は人間の業(ごう)の肯定」というものがありますが、桂枝雀(2代目)さんも「笑いとは緊張の緩和」という名言を残しています。
どちらも理論派かつ話芸の天才らしい含蓄あふれる言葉ですね。
桂枝雀さんの一見破天荒な芸風には計算しつくされた笑いのセオリーがありました。
笑いをとことん追求して到達したのが「緊張の緩和」理論であり、これをひと言で説明すると、人間はどんなシチュエーションの時に、どんな理由で笑うのかを分析したものといえるでしょう。
枝雀さんは笑いのパターンや落語の下げ(オチの部分)を独自の型に分類。
#このタグを見た人は自分と同じ誕生日の人を1人言う#2代目桂枝雀 pic.twitter.com/CIfqDXIKmN
— セニョールしゅーと 2020年カープ 日本一へ! (@MasterNana7pop) January 21, 2020
どうすれば観客が笑うのかを徹底的に突き詰めました。
人間国宝となった米朝師匠には、自分よりも大きな存在になると言わしめたほどでした。
桂枝雀(2代目)の弟子は?
桂枝雀(2代目)さんを師と仰ぐ弟子は故・桂音也さんを入れると9人です。
一門は雀の学校と称して勉強会を開催しています。
旧名の小米時代にパーソナリティを務めたラジオ番組のリスナーが訪ねてきたことが縁となって、1970年、この人物を「桂べかこ」として最初の弟子に迎えました。
のちの桂南光さんですね。
枝雀さんが自分にいちばん似ていると評したのが桂雀々さん。
ファンによると、師匠が乗り移ったのではないかと思うほど高座でそっくりの時があるそうです。
枝雀師匠は、テクニックを超えた芸が伝わるという考えのもと、ほとんどの弟子に住み込みの内弟子修行をさせていました。
松本人志も桂枝雀(2代目)をリスペクト。上岡龍太郎とは一門だった?
桂枝雀さんを心の師匠とし、絶好調の高座は鳥肌ものと発言している松本人志さん。
月亭方正さんが落語界に飛び込んだきっかけも枝雀師匠の『高津の富』でした。
千原ジュニアさんも影響を受けたことを公言していますね。
松本人志さんが枝雀師匠と面識がなかったのは少し意外な気もしますが、まだ駆け出しの頃に楽屋で見かけた時の思い出が忘れられないとのこと。
敬愛する枝雀師匠の姿が目に飛び込んだ瞬間、「うわっ!」と思うのがやっとで、とても声などかけられなかったと回想しています。
他界して20年が過ぎた今でも傾聴しているそうです。
一方、上岡龍太郎さんは桂米朝師匠の訃報を受けて、桂枝雀(2代目)さんや立川談志さんらの名前を挙げ、憧れていた人がこれで全員いなくなってしまったと悲しみを露わに。
若い頃には入門も考えた米朝一門でした。
上岡龍太郎にはダマされないぞ!って番組があったけど、あんなにうまく喋られたら、ダマされるよ。#上岡龍太郎 pic.twitter.com/fbV2YKEUm4
— るなは (@runaha33) January 10, 2019
かつて桂枝雀(2代目)さんと対談した際は、枝雀師匠に対抗できる落語家がいないことから切磋琢磨できる状況にない上方落語界に苦言を呈す一幕も。
この忌憚のない意見に枝雀師匠は賛同し、落語は人それぞれの好みだから全員が一人の落語家を好むことはありえないと返答しました。
桂枝雀さんの高座を生で体験した人が年々少なくなると同時に、この天才落語家をまったく知らない人も増えています。
YouTubeなどには動画も上がっているので、この機会にぜひ一度枝雀ワールド体験してはいかがでしょうか。
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