「ジャパニメーション」と呼ばれ日本を代表する文化の一つとなったアニメ。
そのアニメーションの発展に多大なる貢献を果たした一人が西崎義展(にしざき よしのぶ)さんです。
西崎義展と本田美奈子の関係
アニメ映画の監督やプロデューサーとして一時代を築いた西崎義展さん。
父は東大法学部卒で日本興業銀行を経て日本曹達などで重役を務めた傑物。
また、父方の祖父は薬学者で東京女子薬専の校長で母方の祖父は日本製鋼所の役員。
絵にかいたようなエリートの家系で生まれ育った事が分かりますね。
あの石原慎太郎さんも「家柄だけは負ける」と語った事があるんだとか。
そのような家庭のため父から「東大に行くように」と言われていた西崎義展さん。
毎年、東大合格者を多数輩出している開成中学を受験するも不合格。
ただ、開成に合格できなかったとはいえ勉強が出来なかったわけではありません。
その証拠に西崎義展さんは開成と並び「御三家」と呼ばれる私立武蔵中学へ進学しています。
武蔵中学から武蔵高校へ進んだ西崎義展さんは1953年に卒業。
その後、舞台「欲望という名の電車」での杉村春子さんの演技に心を打たれ1955年に文学座の研究生に。
端役ながら何度か舞台に立つも自動車事故によるケガで俳優に道は断念。
この間、西崎義展さんは東大受験に2度失敗。
結局、4年に渡る浪人生活の末、日本大学芸術学部演劇学科へ。
大学は中退したとも卒業したとも言われています。
その後、西崎義展さんはジャズ喫茶の司会やマネージャー業を経て1962年に音楽制作プロデューサーに。
その翌年にはオフィス・アカデミーを設立し200本ものショーを制作。
1968年には西ヨーロッパへ渡りフランス人プロモーターの助手にとなり舞踏やバレエの舞台製作を行うなど活躍。
そして帰国後に知人の紹介により手塚治虫さんが社長を務める虫プロに企画制作部長として入社。
それと同時に著作権管理マネージャーも務めた西崎義展さん。
版権営業を精力的に行った結果、「ふしぎなメルモ」のアニメ化に成功しています。
1972年にアニメ「海のトリトン」で初プロデュースを行った西崎義展さん。
その2年後となる1974年には「宇宙戦艦ヤマト」をプロデュースし一大ブームを巻き起こす事に成功。
「宇宙戦艦ヤマト」はその後に制作された劇場版アニメも軒並み大ヒット。
莫大な財産を築いた西崎義展さんは毎晩のように銀座で飲み歩き、ハーレーダビッドソンを25台も所有。
高級マンションに大型のクルーザーまで購入したそうです。
西崎義展さんのプロデュース業はアニメのみならず、実写映画やドキュメンタリーなど多岐にわたる活躍。
「日本映画界の革命児」と呼ばれるほどの名プロデューサーとして知られるようになりました。
ただ昔から「栄枯盛衰」という言葉がある通り、西崎義展さんの豪遊生活も長くは続きません。
当時、出資していた会社の経営悪化やプロデュースした映画の失敗などで負債を抱えることに。
ちょうどこの頃に西崎義展さんは当時、人気絶頂だった本田美奈子さんが主演の映画をプロデュース。
映画の中には「ヤマト号」という名前のクルーザーが登場したそうです。
本田美奈子さん初主演の映画で西崎義展さんがプロデュースとなると大変な話題となったはず。
ですが、興行収入としては今一つに終わってしまっています。
また、本田美奈子さんはこの作品以降、映画への出演はしていません。
噂によると西崎義展さんは本田美奈子さんのタニマチ的な存在で大層、可愛がっていたんだとか。
本田美奈子さんがアイドルから飛躍するために一肌脱いだのかもしれませんね。
その後、西崎義展さんは「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を担保に金銭賃貸契約を結ぶなど資金繰りを行うも1997年2月に破産。
そして同年末には覚せい剤取締法違反で逮捕され、1999年には銃刀法違反で逮捕されてしまいます。
1999年には下肢麻痺となってしまい車椅子を使っていた西崎義展さん。
2010年11月に東京都小笠原村父島の海で船から転落し亡くなってしまいました。
西崎義展の息子は養子だった
著作権は譲渡した西崎義展さんですが原作権はそのまま所有していたようです。
西崎義展さんの死亡後に原作権を相続したのが息子の西崎彰司さん。
そして西崎彰司さんが参加する形で「宇宙戦艦ヤマト2199」と「宇宙戦艦ヤマト2202」が製作されました。
西崎義展さんの遺志を受け継ぎ、新たな「宇宙戦艦ヤマト」を作り出した息子の西崎彰司さん。
実は息子と言っても二人に血の繋がりはありません。
というのも西崎彰司さんは西崎義展さんの養子なんです。
元々は音楽関係のビジネスを行っていたという西崎彰司さん。
「宇宙戦艦ヤマト」自体に興味はなかったものの、コンテンツとしては魅力を感じていたようです。
そして西崎彰司さんは獄中にいた西崎義展さんに急接近。
献身的に尽くした西崎彰司さんは養子となることに。
西崎義展さんが出所後に暮らしたといわれる高級マンションも西崎彰司さんの所有物だったそうです。
「宇宙戦艦ヤマト」を我が物にするためにここまでするなんて。
西崎彰司さんには狂気じみたものを感じざるを得ません。
西崎義展は松本零士と裁判沙汰に
「銀河鉄道999」や「宇宙海賊キャプテンハーロック」など宇宙が舞台の作品が多い松本零士さん。
そのため「宇宙戦艦ヤマト」も松本零士さんが作者だと思っている人も多いのではないでしょうか。
松本零士さんもストーリーや多くのアイデアを考え出したようですが企画と原案は西崎義展さん。
そもそも「宇宙戦艦ヤマト」は1973年に西崎義展さんが企画を立ち上げたもの。
松本零士さんが依頼を受けてデザインスタッフとして参加したのは翌年のことでした。
ですが、松本零士さんは1997年頃から「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を主張。
さらに西崎義展さんが逮捕されてからは「西崎義展さんはヤマトとは無関係」、「ヤマトの権利は自分が全て持っている」と語るようになったそうです。
当然、この発言に納得がいかない西崎義展さん。
二人の主張は平行線をたどり遂には裁判沙汰となってしまいました。
気になる裁判の結果は西崎義展さんの完全勝利。
松本零士さんが「宇宙戦艦ヤマト」に関与したのは部分的、という判断が下されました。
その後、西崎義展さんと松本零士さんは法定外和解。
「両者が著作権者」という合意を交わすも筆頭著作者は西崎義展さん。
また、著作権者人格権を持つのも西崎義展さんとなりました。
ただ、裁判後に制作された「宇宙戦艦ヤマト」作品に松本零士さんは関与せず。
そのため名前がクレジットされる事もありませんでした。
十分すぎるほど漫画家として高く評価されている松本零士さん。
ですが著作権をめぐる裁判は自分で自分の「格」を落としてしまったように思えてしまいます。
何とも残念な話ですよね。
西崎義展が残した逸話とは
芸能界のみならず日本でも有数の名家出身の西崎義展さん。
「宇宙戦艦ヤマト」を生み出し事も凄い逸話ですが他にも逸話の数々を残しているんです。
アニメ制作会社のガイナックスに「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクを作らせようと考えた西崎義展さん。
札束が入ったトランクケースを持参しガイナックスへ。
そして「好きなだけ持っていきなさい」と言ったそうです。
また、同じくアニメ制作会社の東京ムービーの社長、藤岡豊さんの元を訪れた西崎義展さん。
「宇宙戦艦ヤマト」への参加を打診すると同時に金額交渉。
その交渉の仕方が藤岡豊さんの手の中で指を立てるというもの。
ちなみに指1本は1億円という意味だったそうです。
お金に糸目をつけない西崎義展さんの何とも豪快は逸話。
それだけ当時は資金が潤沢だったのでしょうね。
なお、上述の通り西崎義展さんは1999年に銃刀法違反で逮捕されています。
クルーザーに自動小銃に実弾、擲弾を保持していたんだとか。
なぜこれらの銃火器を保有していたのか問われた西崎義展さん。
その回答は「海賊対策」、「尖閣諸島に上陸した石原慎太郎さんの護衛用」。
西崎義展さんの逸話を聴くと「天才の考える事は一般人には理解しがたい」という事が良く分かります。
一般人では考え付かない事を考えつく西崎義展さんだから天才と呼ばれているのでしょうが。
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