アンパンマンの生みの親としてあまりに有名なやなせたかしさん。
亡くなった時、妻に先立たれ子供もいませんでした。
生涯年収が400億円と言われる事もあり遺産相続が大きな注目を集めました。
遺産だけでなく著作権の行方も気になるところ。
スタジオを兼ねていたという自宅についても見てみましょう。
やなせたかしのプロフィール
本名:柳瀬嵩
生年月日:1919年2月6日
血液型:AB型
出身地:東京府北豊島郡滝野川町
最終学歴:東京高等工芸学校図案科卒業
やなせたかしの遺産相続が大きな話題に
国民的ヒーロー「アンパンマン」を生み出したやなせたかしさん。
絵本やアニメ、主題歌にグッズなど誰もが一度はアンパンマンに触れた事があるはず。
誕生から約半世紀が経った今も人々に愛され続けています。
そんなやなせたかしさんですが、2013年10月13日に94歳で死去。
日本が世界に誇る偉人の訃報は大きな話題となりました。
それと同時に話題となったのが遺産の行方。
通常ならば配偶者や子供、近しい親族に相続される事が多いですよね。
ですが、やなせたかしさんは妻に先立たれ、子供もいませんでした。
近しい親族もいなかったとの事で誰が相続するのか注目が集まりました。
生前の活躍ぶりを考えると相当な財産が残されていたはず。
その財産を狙って遠い親戚を名乗る人が出てきても不思議ではありませんよね。
また、相続する人がいなければ国庫に入る事となります。
そのような状況になる事を危惧していたのでしょう。
生前、遺産については高知県にある「やなせ・たかし記念館アンパンマンミュージアム」と「有限会社やなせスタジオ」に回すように伝えていたそうです。
ですが、口頭で伝えていただけでは法的には何の効力もありません。
正式な遺言を残すためには書面を作成する必要があります。
やなせたかしさんが書面で遺言を残していたかどうかは不明。
ですが、生前から始めていた実家跡地の公園化は死後も順調に行われています。
そして公園内にはお墓が建てられ、納骨式も行われました。
この公園の維持管理を行うのは「やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団」。
また、やなせたかしさんの遺言により2017年に子供向けの作品を対象とした「やなせたかし文化賞」が創設されています。
恐らく生前の希望通りの遺産相続がされたのでしょう。
そして希望通りに遺産が使われている事が分かり一安心ですね。
アンパンマンを子供のように愛していた
前述の通りやなせたかしさんに子供はいません。
その代わり、アンパンマンを子供のように愛していたそうです。
自らを犠牲にしても困っている人を助けるアンパンマン。
もし、自分に子供がいたらこんな子供に育って欲しい。
そんな願いが込められているのでしょう。
また、アンパンマンと言えばギネス世界記録に認定されるほどの登場キャラクターの多さ。
これも多くの友達に恵まれて欲しい、という思いが反映されているのかもしれません。
生涯、アンパンマンの作品を生み出し続けたのも子供として接してきたから。
最後まで面倒をみるのが親の責任だと思っていたのでしょう。
人気漫画家になれたのは妻のおかげ
やなせたかしさんの妻の名前は暢(のぶ)さん。
元々、高知新聞の同僚だった二人。
暢さんが転職して上京する事を知るとやなせたかしさんも退職して上京。
そして上京した1947年に二人は結婚する事となります。
やなせたかしさんが漫画家を志したのもこの頃。
ただ、生活面での不安が大きかった事から専業ではなく兼業漫画家に。
その後は三越でグラフィックデザイナーとして働きながら漫画を執筆する日々。
専業漫画家となったのはそれから6年後となる1953年。
漫画での収入が三越の収入の3倍ほどになった事で退社を決断したそうです。
ただ、収入が上回ったとはいえ職業の安定性で言えば漫画家よりも三越の社員。
漫画家は人気商売なのでいつ仕事が無くなってもおかしくありません。
そのため老舗百貨店の社員という地位を手放す事に不安もあった事でしょう。
また、専業の漫画家になる事を妻が反対しても不思議ではありませんよね。
ところが暢さんは「収入が無ければ私が食べさせてあげる」と言葉をかけたそうです。
この言葉に背中を押された事も退社を決断するきっかけとなったようです。
「仕事以外は全てカミさん」と妻に頼りっぱなしである事を明かしているやなせたかしさん。
全幅の信頼を寄せる妻の言葉は何よりも勇気を貰えた事でしょう。
もし、妻が反対していたらやなせたかしさんはその後も兼業で漫画を描いていたはず。
そして兼業漫画家だったら今ほどの人気漫画家になっていなかったかもしれません。
恐らくアンパンマンが誕生する事もなかったでしょう。
そう考えるとやなせたかしさんが人気漫画家になれたのは妻のおかげ。
そう言っても決して過言ではありませんよね。
やなせたかしの生涯年収は約400億円
時代が変わっても子供達に絶大な人気を誇るアンパンマン。
絵本シリーズの累計発行部数は8000万部超。
その市場規模は年間1000億円と言われ、これまでの世界総収益は600億ドル。
日本円に直すと約6兆円という桁外れの収益となっています。
これはマリオやガンダム、ドラゴンボールを上回る金額。
子供向けのキャラクターでこれだけの収益は驚異的なこと。
子供をターゲットにした市場では独り勝ち状態と言っても過言ではありません。
もちろんこれが全てやなせたかしさんの収入になる訳ではありません。
6兆円というのはあくまでもアンパンマン関連の売上金額。
この金額のうち、著者に支払われる分の印税が収入となります。
まず、絵本の値段は様々なので1冊、約1000円としましょう。
印税は約10%なので絵本の印税だけで約80億円となります。
キャラクターを玩具に使用されると約3%、文具では約2%の印税が入るそうです。
アンパンマン関連の2010年までのグッズの総売り上げは約1兆1000億円と言われています。
この情報と年間の市場規模1000億円という情報から、亡くなる2013年までのグッズ総売り上げは1兆4000億円。
玩具と文具の割合は不明のため全て2%の印税としても280億円となります。
その他、アニメの放映料に作詞の印税も含めると生涯年収は400億円に達する事は間違いないでしょう。
一般的なサラリーマンの生涯年収は約3億円。
それを考えると生涯年収400億円は何とも凄い金額です。
今後もアンパンマンを超える子供向けの作品は出てこないかも。
そう考えると改めてやなせたかしさんが稀有な存在である事が分かりますよね。
アンパンマンは著作権フリーという噂は嘘
なぜか巷で囁かれている「アンパンマンは著作権フリー」という噂。
2023年時点の著作権法では著作者の死後も70年間は著作権が保護される事となっています。
ただ、これはあくまでも著作権を相続した人がいる場合。
もし相続人がいなければ著作権は国庫に帰属します。
そして国庫に帰属した場合、著作権は消滅。
そのキャラクターを誰でも自由に使う事が出来るようになります。
恐らくやなせたかしさんに近しい親族がいない事から著作権が国庫に帰属したと思っている人が多いのでしょう。
ですが、アンパンマンは著作権フリーではありません。
2023年現在、株式会社やなせスタジオ、株式会社フレーベル館など複数の企業で著作権を管理しています。
もし、1つの企業だけが権利を独占すると利益最優先となる恐れがあります。
これまで築き上げたアンパンマンのイメージを損なう危険性もあるでしょう。
それを避けるために複数の企業で権利を共有。
そして互いにアンパンマンのイメージを損う使い方をしないよう気を付けているのでしょう。
このように「アンパンマンは著作権フリー」というのは誤り。
グッズ等でアンパンマンを使う際には十分気を付ける必要があります。
やなせたかしの自宅はスタジオも兼ねていた
生涯年収が桁外れのやなせたかしさん。
一体どんな自宅に住んでいるのかと調べてみても詳細な情報は不明。
子供達に夢を与える仕事だけにプライベートはあまり明かしたくなかったのかも。
ただ、自宅はスタジオも兼ねていた事が分かりました。
スタジオの壁には本やぬいぐるみなどアンパンマングッズがいっぱい。
やなせたかしさんが常にアンパンマンに囲まれて生活していた事が分かります。
それだけアンパンマンを愛していたから素晴らしい作品を生み出し続けられたのでしょう。
なお、亡くなった時には自宅ではなくスタジオに棺が置かれたそうです。
生涯をアンパンマンと共に歩み続けたやなせたかしさん。
「最後の時間もアンパンマンと過ごして欲しい」という思いからスタジオに棺が置かれたのかもしれません。
これから先も人々に愛され続けるであろうアンパンマン。
そんなキャラクターを生み出したやなせたかしさんは本当に天才と言わざるを得ません。
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