フォーク全盛期に突如として現れ、夫でありプロデューサーでもある松任谷正隆さんの戦略のもと、不動の人気を築いた松任谷由実(まつとうや ゆみ)さん。
今回は、ユーミンを天才たらしめるスペックを紐解いていきましょう。
「歌詞がすごい」と評判の作詞センスにも迫ります。
一方で「歌下手」という酷評もありますが、そのあたりについても音域や歌唱力とあわせてみていきます。
松任谷由実のプロフィール
愛称:ユーミン
本名:松任谷由実
生年月日:1954年(昭和29年)1月19日
出身地:東京都八王子市
最終学歴:多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業
所属事務所:雲母社
松任谷由実を天才たらしめる最大の要因
14歳でプロの作曲家となり、ミュージシャンのあいだで「天才少女」と呼ばれていた松任谷由実さん。
その名が一般に知られるきっかけになったのは、大学在学中に荒井由実名義でリリースしたファーストアルバム『ひこうき雲』でした。
この表題曲は40年後、ジブリ映画『風立ちぬ』の主題歌に起用されることになります。
そもそも松任谷さんは幼少期からピアノを通してクラシックに親しんでおり、基礎的な音楽素養がありました。
フォークソングや歌謡曲がヒットチャートを占めていた当時、プロコル・ハルムなどの影響を受けた欧米の香りが漂う楽曲は邦楽界に新風を吹き込みます。
3年後に松任谷正隆さんと結婚し、力強いブレーンを得てからは、時代の先導者としてミリオンセラーを連発してユーミンブランドを確立。
「女拓郎」「女陽水」と呼ばれたことに対して、「わたしは彼らとは違う、わたしの曲は今までにない新しいもの」と述べている松任谷由実さん。
ユーミンを天才たらしめる最大のスペックは、卓越したメロディメーカーであると同時に、類まれな作家性をもった作詞家であることでしょう。
キャッチ―で、すぐに口ずさめる作風こそがメガヒットの要因であり、松任谷由実の真骨頂でもありますね。
とても多作なアーティストでもありますが、多作であるということも天才ならではのスペックといえそうです。
自身がパフォーマーでありながら楽曲提供も多数おこない、広い世代からの支持を得て、「ユーミン一強」の時代をつくりだしたクリエイティビティには凄みすら感じます。
松任谷由実の歌詞や作詞センスがすごい!
「詩人」や「時代の語り部」などと評されることがある松任谷由実さん。
「歌詞がすごい」と思う人が多いのも当然のことでしょう。
事実、楽曲群のなかには聴き手の共感を誘う名フレーズが頻繁に登場します。
たとえば『中央フリーウェイ』の「右に見える競馬場 左はビール工場」ではドライブデートの臨場感を切りとるテクニックを披露していますし、『DESTINY』では「どうしてなの 今日にかぎって安いサンダルをはいてた」と、女性の儚い恋心を浮き彫りにしました。
情景や日常の描写さえもおしゃれに歌詞に落とし込んでしまう作詞センスは、真似しようとしてもできるものではありません。
数少ない先輩と。#吉田拓郎 pic.twitter.com/hbJX4i1NlD
— 松任谷由実 Official (@yuming_official) March 20, 2019
80年代に入ると、時代のトレンドを含んだ物語性の強い歌詞がOL層を中心に絶大な支持を得て、「恋愛の教祖」と呼ばれるように。
聴く者を物語の主人公のような気分にさせてしまう魔法はストーリーテラーならではのものでしょう。
「時代が変わっても耐えうる曲をつくってきた自負はあります」というご本人の言葉からも、創作への確固たる自信が伝わってきます。
松任谷由実に「歌下手」の声が続出、自虐発言も話題
松任谷由実さんは「わたしは歌が上手くない」と、ことあるごとに語ってきました。
ネット上でも、「歌下手」「安定性に欠ける」という意見が多数派で、「歌が上手い」と思う人は少数派です。
音域の広さや音程の確かさ、声量、ビブラートといった技術的な観点からみても、松任谷さんより上手い女性歌手はいくらでもいるでしょう。
あの特殊な声質も下手と思われる大きな原因になっているようですね。
ですが一方で、独特の歌声は玄人受けがよいのも事実。
デビューアルバム『ひこうき雲』が歌入れに難航し、完成に1年以上かかったのは有名な話です。
もともと松任谷さんは作曲家志望で、当初、歌い手には雪村いづみさんに白羽の矢が立っていました。
ところが実際に歌ってもらったら歌が上手すぎて、ボーカルと詞がちぐはぐな印象に。
そんなときにアルファレコードの村井邦彦さんがユーミンの声を聞いて、「味のある声だ」と感じ、本人に歌わせることになったのです。
雪村さんとがらりと変わって、ユーミンの声は詞のイメージにぴったりマッチ。
とはいえ、ご本人はシンガーとしてはまったくの素人でした。
いざ歌入れしようとすると、音程やビブラートに難のある歌唱のつたなさが耳につきます。
松任谷さんは村井さんのアドバイスを聞き、ときに泣きながら、1年以上かけてレコーディングを終えたそうです。
結果として、この特徴のある歌声がユーミンの世界を構築することになりました。
これは村井邦彦さんの英断の賜物だと今さらのように思います。
あの声でないと映えない曲があるという事実がそれを物語っていますね。
#tシャツターバン#ユーミン巻き pic.twitter.com/qqVB5hQYd3
— 松任谷由実 Official (@yuming_official) February 7, 2019
松任谷由実の音域は低め
もともと声が低い松任谷由実さんは音域も広いほうではありません。
楽曲は基本的に最高音が低く、作品によっては男性も歌うことができるほどです。
メロディも覚えやすいため、カラオケでチャレンジしやすい作品が多いのが特徴です。
今回は、一般的な女性の音域の範囲内でつくられた『春よ、来い』をピックアップしてみましょう。
地声最低音はAメロのmid1F(F3)。
「あわきひかりたつ にわかあめ」の最後の「め」の音です。
地声最高音はサビで多く登場するmid2G#(G#4) 。
「はるよ とおきはるよ」の頭の「は」の音です。
最高音とはいえ、J-POPの女性曲としては低めですね。
『春よ、来い』はmid1F(F3)からmid2G#(G#4)の音域で歌メロが構成されていることになります。
高音域が苦手な女性には親しみやすいレンジですが、反対に低音域が苦手な女性には歌いにくいかもしれませんね。
個人差はありますが、キーを調整するなど工夫してみるとよいでしょう。
歌唱力の魅力
「歌唱力以上の曲を書くアーティスト」と言われたことがあると白状している松任谷由実さん。
ライブでも歌唱力のなさを自虐する場面がありますが、昔からのファンにとってはさほど深刻な問題ではないようです。
というのも、松任谷さんはもともと生歌が苦手なことで有名。
歌唱力で聴く者を魅了するタイプのアーティストではないことはファンがいちばんよくわかっているのでしょう。
歌唱力のあるシンガーにはカテゴライズされにくいユーミンですが、そのボーカルが多くの人を惹きつけてやまないのはなぜでしょう。
その秘密は、「シング・ライク・トーキング」という歌唱法にあるのかもしれません。
「シング・ライク・トーキング」とは、歌詞を語るように歌うテクニックのこと。
歌唱力ランキングの常連である玉置浩二さんが得意とするボーカルスタイルでもありますね。
松任谷さんの場合、楽曲がよすぎるがゆえに、いっそう歌唱力の低さが注目されてしまうのかもしれません。
しかしアーティストは表現者ですから、歌唱力のみを取りあげて評価するべきものでもありません。
ユーミンは曲・詞・パフォーマンス・声の総合芸術といえるでしょう。
自分の歌が「詠み人知らず」になるのが理想と繰り返し語ってきた松任谷由実さん。
いつか死んで名前が消えても、歌をみんなが知っているのが夢なのだそうです。
その夢に確実に近づいているのではないでしょうか。
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