中村主水(もんど)として「必殺」シリーズ支え続け、現場スタッフからも慕われた藤田まこと(ふじた まこと)さん。
この記事では藤田さんの死去と葬儀、そして代表作である『必殺仕事人』シリーズや『剣客商売』のこと、さらにその殺陣についてまとめます。
藤田まこと、がんで死去
2008年、藤田まことさんは体調不良を訴えます。
検査したところ、食道がんが発覚。
8時間に及ぶ大手術を終えて麻酔から覚めた藤田さんは、まだ意識がもうろうとしているにもかかわらず、枕元の家族に両手を合わせて「すまなかった」「ありがとう」と声をかけました。
また、執刀医をはじめ担当のスタッフにも力を振り絞るようにして手を伸ばし、一人ひとりの手を握ったそうです。
10月には仕事に復帰しますが、翌年慢性閉塞性肺疾患のため再び治療に専念。
2010年2月、大動脈瘤破裂のためこの世を去りました。
去る1月には体調の回復もあってナレーションの仕事を務めたばかりで、3月の『必殺仕事人2010』での完全復帰を控えた矢先でした。
倒れた日も「必殺」の準備稿を読んでいたという藤田さん。
主水を演じることへの意欲は並々ならぬものだったのでしょう。
台本が届いたのは17日でした。
目を通すことなく亡くなった藤田さんのために、それは枕元に添えられ、棺に納められました。
藤田まことの葬儀
通夜・葬儀は長男の知樹さんが喪主を務め、生前の藤田さんの意向を尊重して密葬形式で営まれました。
また、お別れを言いたいと望む声が芸能界や政財界から寄せられたことから、「藤田まことさんを偲ぶ会」が後日執り行われることに。
当日は約600が参列し、藤田さんを偲んだそうです。
藤田まことの代表作『必殺仕事人』と『剣客商売』
金銭と引き換えに、弱い者の晴らせぬ恨みを晴らす裏稼業——仕事人たちの活躍を描いた「必殺」シリーズは藤田さんのライフワークになりました。
シリーズを通じての奇抜な暗殺方法や、マカロニウエスタン調の殺しのBGMはトレードマークとなり、知名度も高いですね。
時代劇にもかかわらず、X線写真図を用いた人体破壊の描写の演出もインパクトがありました。
主人公・中村主水の格好悪くも憎めないキャラクターは、選り好みされがちな時代劇のファン層を広げることにも成功。
「必殺」を語る藤田さんの言葉を紹介します。
長年裏稼業をやってても、姑さんも嫁さんも全然気づかないのが仕事人ですからね。
未来永劫、バレちゃいけないんです。
バレたときは、『必殺』はおしまいです。
だから、世の中には仕事人なんてのはいないんですよ。
『必殺』は夢の世界ですから。
『剣客商売』は1973年にテレビドラマ化され、藤田さんは98年の連続ドラマから秋山小兵衛を演じました。
剣を商売としながら生きる小兵衛の人生を、江戸の町の情緒や人情を織り交ぜて描いた人気時代劇です。
藤田さんは60代で何をすべきか迷っていたそうで、この役だけは誰にも渡したくないと考え、自ら売り込んだといいます。
『剣客商売』の撮影は至福の時であり、小兵衛役をやれる役者は自分しかいないと自負していたとのこと。
小兵衛役への強い思い入れが伝わります。
藤田まことの殺陣
『必殺仕事人』での主水の殺陣は、殺し屋らしい不意討ちや騙し討ちをベースにした省エネ殺法が多かったですね。
金銭で請け負う暗殺ゆえに負ける戦はせず、刀も簡単には抜きません。
真剣を交える斬り合いよりは、脇差で敵の急所を突き、確実に仕留める殺陣。
華麗な太刀さばきや大立ち回りではなく、ただ人が殺されているという説得力が伝わる殺陣でした。
生前、「修芸生涯」という言葉を好んでサイン色紙に書き添えていた藤田まことさん。
仕事人・中村主水は藤田さんのはまり役になりました。
藤田さんといえば中村主水、中村主水といえば藤田さん。
一見情けない男が実は腕利きの殺し屋という味わい深いキャラクターは、藤田まことさんの奥深い人生経験があったからこそ成り立ったのかもしれません。
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