『怪人二十面相』や『芋虫』などの名作を残し、ミステリー小説の大家として知られる江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)。
摩訶不思議で不気味なだけでなく、妖艶な世界観の作品群こそ有名ですが、作家自身はどのような性格だったのでしょうか。
さらに引っ越しエピソード、名前の由来、妻と孫の情報についてまとめました。
江戸川乱歩のプロフィール
本名:平井太郎
生年月日:1894年10月21日
死没:1965年7月28日
身長:170㎝超
出身地:愛知県名古屋市
最終学歴:早稲田大学政治経済学科
江戸川乱歩の性格、引っ越しエピソード
まずは乱歩の知られざる性格と、引っ越しのエピソードについて見てみましょう。
乱歩は非常にネガティブな性格だったと言われています。
社会で生きていくことに嫌悪を感じ、中学1年のときにはうつ症状で引きこもりを経験。
大人になってからも人間関係を築くのが苦手で、仕事が長続きせず、職を転々としています。
病床で詩を書くなど、病気による休息が至福の時間だったそうです。
「社会の誰とも、考え方が一致しなかった」という発言からも、社会に適応できないタイプの人だったことがわかりますね。
今でこそ生きづらさを抱える人は多くいますが、当時、成人男性で乱歩のように鬱々とした人は世間体が悪かったに違いありません。
物の考え方が天才的で、凡人とは異なっていた可能性が高く、だからこそ作家としては大成できたのでしょう。
しかし作家になってからも度々スランプで休筆しており、「31年間の内17年間は休んだ」と発言しています。
さらに、生涯に46回も引っ越しをしているそうです。
幼少期の引っ越しを除き、成人後に自ら引っ越しをした回数だけでも30回近くになるとされています。
それだけ隣近所との付き合いが苦手だったのでしょう。
1934年、池袋にある立教大学の隣に引っ越してから、ようやく腰を落ち着けました。
住み心地が良かったのか、65年に亡くなるまでこの地に住み続けています。
2002年に土蔵と邸宅、4万点もの蔵書などが立教大学の所有となり、土蔵は豊島区指定有形文化財として登録されました。
西池袋の立教大学にある『旧江戸川乱歩邸』が10/16(日)10時〜16時に特別公開。入場無料。予約不要。https://t.co/Ae4fYOnYRC pic.twitter.com/RKpLVDRlyt
— ほいじんが (@garaguda) October 15, 2016
池袋に腰を落ち着けたのは良かったですが、なかなか前向きに生きられず、人間関係をこじらせてしまう人だったことがわかりますね。
江戸川乱歩の名前の由来は?
次に、個性的な名前の由来について見ていきましょう。
小説に興味のない人でも、「江戸川乱歩」という名前を1度聞けば忘れられなくなる響きですよね。
ペンネームの由来は、アメリカの作家であるエドガー・アラン・ポーです。
エドガー・アラン・ポーはカテリーナという猫を飼っていて、ポーの執筆中に原稿を覗き込むように肩に乗っていたそうです。 #作家と猫 pic.twitter.com/zQtYRdFSbM
— 愛書家日誌 (@aishokyo) January 19, 2020
『モルグ街の殺人』、『黒猫』などが代表作で、恐怖小説の第一人者として文学史に名前が残っています。
乱歩は幼少期からポーの『黄金虫』を愛読していたため、ポーの名前の響きをもじったペンネームを考えたのです。
『二銭銅貨』でデビューした際は、江戸川藍峯(えどがわ らんぽう)という漢字を使用していましたが、2年後にはよりシンプルな「乱歩」という漢字へ変更。
彼自身、生涯こちらの漢字を気に入っていたようです。
確かに藍峯よりも目に入りやすく、覚えやすいので、この改名が売れっ子作家になるうえで功を奏したのでしょう。
江戸川乱歩の妻と孫について
ここから乱歩の妻と孫について見ていきましょう。
乱歩は25歳のとき、弟2人と本郷で三人書房という古書店を経営していました。
この時期に結婚したのが、村山隆子という女性です。
現在の鳥羽市坂手島で小学校教員をしていた隆子は、読み聞かせ会で乱歩と出会ったので、教養ある読書好きの女性だったのでしょう。
実家は三重県鳥羽市のいわゆる「よろず屋」で、隆子の父の死後、母が切り盛りしていたそうです。
乱歩と結婚した翌々年には一人息子の隆太郎を出産。
隆太郎はのちに心理学者となり、立教大学の名誉教授にも就任し、乱歩邸を立教大学の所有にするうえで手続きを取っています。
隆子は1982年に85歳で脳血栓により死去、隆太郎も2015年に94歳で肺炎のため既に亡くなりました。
では乱歩の孫は存命なのでしょうか。
隆太郎の息子で、乱歩の孫にあたるのが、平井憲太郎さんです。
旧江戸川乱歩邸大衆文化研究センターのフェイスブックに掲載。前橋文学館「パノラマ・ジオラマ・グロテスクー江戸川乱歩と萩原朔太郎」展用に、館長の朔太郎孫・萩原朔美さんが乱歩孫・平井憲太郎さんと乱歩土蔵2階で写真撮影の際のスナップです。 pic.twitter.com/VaRPObOJdX
— yasu_kum (@yasu_kum) September 1, 2016
大の鉄道マニアで、鉄道模型雑誌の『とれいん』では編集長を務めました。
乱歩関連の講演やイベントに招かれ、積極的に祖父の情報を発信しており、2023年現在もご存命のようです。
さらに乱歩原作の漫画で監修を務めてもいます。
乱歩さんなら、環レン先生が描いた「孤島の鬼」の漫画版もオススメです!
この漫画版、乱歩さんのお孫さんの平井憲太郎さんが監修してるんですよ!!!! pic.twitter.com/PacWfkMmaD— †┏┛旧支配者のくとぅるふくん┗┓† (@Kutuluu_iaia) July 28, 2020
引きこもりがちだった祖父に比べると、快活でアクティブな印象のあるお孫さんであることがわかりましたね。
時代を経ても色あせない乱歩作品。
社会に適応できない自身の性格も相まって、生きづらさを抱える現代人のファンは増えていくかもしれませんね。
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