昭和を代表する劇作家で作詞家の菊田一夫(きくた かずお)。
貧しい出自でしたが、浅草国際劇場での下積みを経て、多くの舞台やラジオドラマの台本を執筆。
東宝演劇部の取締役として、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の上演を手掛けるなど、演劇界に残した業績は大きい人物です。
今回は「菊田一夫演劇賞」に名前の付いた劇作家について、妻と息子の詳細、森光子さんとの師弟関係に迫ります。
さらに2020年の朝ドラ『エール』で話題となった代表作、『君の名は』についても見ていきましょう。
菊田一夫のプロフィール
本名:菊田数男
生年月日:1908年3月1日
死没:1973年4月4日
身長:推定153cm以下
出身地:大阪府、兵庫県など
最終学歴:台湾城北小学校から夜学へ進学
菊田一夫の妻は?
菊田の妻は、女優の高杉妙子さん。
二女をもうけたのち、正確な時期は不明ですが、離婚したことがわかっています。
1919年生まれの高杉さんは、帝劇で上演された『花咲く港』などに出演する傍ら、映画でも活躍しました。
『ロッパ歌の都へ行く』や『東京キッド』などに出演。
菊田原作の『鐘の鳴る丘』にも出演しています。
1955年のテレビドラマ『サザエさん』では、主人公のサザエさんを演じました。
高杉妙子版 #サザエさん の詳細。
脚色の市川三郎は #向田邦子 の師。演出の栫井巍は #ウルトラQ、#ウルトラマン のプロデューサー。#マスオ 役の #小野田勇 は、#おはなはん、若い季節、舞台 「#おもろい女」を手がけた名劇作家。#フネ 役 の水の也清美は元 #宝塚 出身。
何故、父・母役なのか? pic.twitter.com/5bjDKfduUU— らくはく (@rakuhaku1853) February 6, 2020
国民的ヒロインであるサザエさんを演じるほどの、人気と実力を誇った女優だったといえます。
歌手としても『大陸の乙女』や『年ごろ』などの曲をヒットさせました。
1994年、リウマチによって75歳で亡くなります。
菊田の妻として名前が挙がるのは、高杉さん1人です。
しかし才能ある劇作家、カリスマ興行主の面を持つ菊田の女性関係は、かなり派手でした。
レッスンを付けていた女優と、そのまま不倫関係に陥ることもあったようです。
恋多き男だった菊田を、高杉さんは支え続けることができなかったのでしょう。
菊田一夫の息子はいる?長女は作曲家
菊田と妻の高杉さんとの間には、2人の娘がいます。
長女で作曲家の菊田伊寧子さんと、その妹です。
伊寧子さんは教会のオルガニストや、テレビ番組のテーマ曲の作曲家として活動してきました。
書籍『「ママによろしくな」 父・菊田一夫のまなざし』の出版もしています。
息子についてですが、正確な情報はありません。
ただし、女性関係が豊富だったため、愛人との隠し子がいても不思議ではないでしょう。
息子がいるとしても、菊田が父であることを認識していない可能性が高そうです。
あるいは一切、芸能と関係のない仕事に従事し、父のスキャンダルが発覚しないよう秘かに生きているかもしれませんね。
森光子との師弟関係
多くの女優を育てた菊田ですが、中でも森光子さんは有名な弟子の1人です。
1961年森さんは、菊田脚本の舞台『放浪記』で、ヒロインの林芙美子を演じました。
2017回のロングラン公演となった本作は、芙美子のでんぐり返しシーンでも有名ですね。
思えば、森光子さん生誕100年の今年、光ちゃんが菊田一夫演劇大賞をいただいたことにもご縁を感じるなぁ…!
放浪記は、菊田一夫先生作ですものね。— ゆきりんご❤︎ (@rosarie_y) August 29, 2020
戦時中は慰問団の歌手として活動し、戦後は結核によって生死の境をさまよった森さん。
芸能活動は順風満帆ではありませんでした。
しかし梅田コマ劇場に出演した際、菊田に発掘されたことが運命を変えます。
当時38歳だった森さんのアドリブに感心した菊田は、彼女を自ら育てることにしました。
しかし、いざ彼女に芝居を付け始めると、「君には個性がない。結局は脇役だ」と宣告するのです。
森さんは、どうしても売れない自分のみじめな境遇を嘆きます。
しかし菊田の自伝的舞台『がしんたれ』で、作家の林芙美子役で脇を務めた際、その演技が好評を博しました。
そして芙美子を主人公にした『放浪記』で、41歳にして初主演を務めるのです。
芸能界の厳しさを教えるため、菊田はあえて、可能性を秘めた森さんにきつく当たっていたのかもしれませんね。
エールで話題の「君の名は」
菊田が作詞家としてタッグを組んでいた、作曲家の古関裕而。
古関をモデルにした朝ドラ『エール』では、菊田は「池田二郎」として登場します。
演じたのは実力派俳優の北村有起哉さんでした。
#エール #朝ドラエール
池田二郎の傍らにはいつも甘いものが。彼のモデルとなった菊田一夫は糖尿病が元で亡くなったそうで。
彼が「みんな森さんのおかげ」と喜んでいるのは『放浪記』のことかな。あの森光子さんの代表作も菊田一夫作品。 pic.twitter.com/RcG3bkSQds— Saitoh Masaya (@MS3110) November 24, 2020
2人は大ヒットラジオドラマ『君の名は』のテーマ曲を手掛けました。
『君の名は』は、放送時間帯に「銭湯が空になる」と言われるほどの人気を博した作品。
『エール』では、劇中劇としてラジオドラマの収録風景が映し出され、話題になりました。
#エール
81プロデュース御出演記念
ラジオドラマ「君の名は」#三木眞一郎#恒松あゆみ#尾田木美衣
ナレーション #津田健次郎
三木さんと津田さん共演だと薄桜鬼が浮かんでしまう pic.twitter.com/EvvAUkz3z6— ayuto (@byk01567) November 15, 2020
劇中劇には三木眞一郎さん始め、人気のプロ声優が出演したため、『エール』はアニメファンの心もつかんだようです。
芸能界に大きな足跡を残した菊田一夫。
『エール』をきっかけに知名度が高まり、若い世代にも注目されていることを、天国で自身も喜んでいることでしょう。
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